また検診ではなく、通常診療で見つかった甲状腺がんにおいて、リンパ節転移の割合が、大人の場合20~50%であるのに対して、子どもの場合40~90%と、小児甲状腺がんではリンパ節転移の頻度が高いことが知られています*27。 これらのことから、福島の検診でみつかった小児甲状腺がんについては、たとえリンパ節転移や外部浸潤を伴ったものであっても、そのほとんどは潜在がんであるとみなすのが適切であるという考えが示されています*28。 (2)2巡目で初めて発見されたがんは「急成長」したのではないか 1巡目の検査(2011年10月~2014年3月)で一通り甲状腺がんを検出した後、2巡目の検査(2014年4月~2015年12月)で、新たに少なくとも51人の「がんないしがん疑い」が見つかったことを、急激に成長する新たながんが発生している証拠とみる意見も出されています*29。 1巡目の検査で早期発見がんや潜在がん
原発事故後の福島県で、子どもの甲状腺がんが相次いで見つかり、手術もおこなわれているというニュースは少なからぬ衝撃を持って全国に伝えられました。 甲状腺がんは、他の臓器のがんとくらべて進行が遅く、またリンパ節への転移があっても10年後の生存率がとても高く、予後の良いがんと言われています*1。 しかし福島県でこれまでに発見されたがんの症例数の多寡については、明らかに多いという人、驚く必要はないという人、専門家の間でも、さまざまな議論が交わされ、結論の出ない状況が今なお続いています。 そのような中、福島県は、「県民健康調査中間とりまとめ」*2を2016年3月末に公表し、2011年10月より実施している甲状腺がん検査について、「日本全国における甲状腺がんの発症数などから推定される数よりも、数十倍多い患者数が存在している」と結論づけました。 しかしながら、その原因については「放射線の影響とは考えにく
まずは、情報を記録することだ。福島原発事故に関する論文は、「pubmed」という論文検索サイトで調べると、1000報以上ある。 チェルノブイリ事故の論文が4000報程度であることを考えると、大量だと言えるだろう。さらに、福島原発事故を報じた記事も大量にある。 しかし、このうちのほとんどが被曝量に関するものである。 大切な専門家同士の連携 ベラルーシでの勉強会で参加者の興味を引いたのは、福島の被曝量だけでなく、高齢化などの社会問題についてであった。このような、原発災害が引き金を引いた社会構造の変化についてはまだ記録不足だ。 高齢化の進行や仮設住宅や復興住宅におけるコミュニティの崩壊などの問題は、孤独死や糖尿病の悪化など健康問題を引き起こすことが危惧されている。これは原子力災害だけでなく、高齢化社会にもヒントとなる分野であり、記録に残さなければいけない。 次に、専門家同士が連携することだ。 ベ
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