顔伯鈞という人物をご存知だろうか。1974年生まれの彼は元中国共産党員で、2005年に党の最高学府である幹部養成機関、中共中央党校の修士課程を修了。その後に北京市通州区に勤務したが、腐敗や社会矛盾を目の当たりにしたことで官界に嫌気が差して大学教員に転身した。 彼はやがて胡錦濤政権の末期に起こった政治改革運動「新公民運動」の幹部層として活躍したが、習近平による運動の弾圧を受けて逃亡を余儀なくされ、2015年2月からタイで亡命生活を送っている。過去の中央党校の同級生たちは、地方の県のトップぐらいの、そこそこの幹部ポストについている模様だ。 2016年6月、筆者はこの顔伯鈞の逃亡記があまりにも興味深かったので、それを編訳して『「暗黒・中国」からの脱出』(文春新書)として刊行した。 著書刊行から時間が経ち、今年10月に中国では習近平政権の第2期が発足。保守的な政権のもとで、中国では従来は認められた