いくつもの不手際が重なっての失態である。大阪府警富田林(とんだばやし)署に勾留されていた容疑者の男が、弁護士との接見後に逃走した。 留置施設の管理の手抜かりから住民に不安を広げた事態を警察全体が重く受け止める必要がある。特殊な事例とかたづけず、徹底検証したうえで防止策を講じるべきだ。 信じ難い管理のずさんさである。 面会室の扉には開閉で音が鳴るセンサーがあったが、1年以上前から電池が抜いてあった。接見終了に気付いたのは1時間45分たってからだ。弁護士から声掛けがあると思っていたという。接見が日曜夜で隣室の受付に署員はおらず、無人だった。 しかも容疑者が壊したとみられる接見室のアクリル板は、金属枠との間に容易に隙間(すきま)ができた。約30年前から一度も交換されていない。塀の近くには脚立まで置かれていた。 2007年に栃木県で、弁護士と接見後に容疑者が面会室で自殺した事件があった。警察庁の指