北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)試射の中止、核実験場の廃棄を宣言した。背景には、米朝首脳会談で主導権を握りたい思惑と、国内の混乱を招かずに従来の核開発路線を修正したい戦略があるとみられる。 複数の北朝鮮関係筋によれば、正恩氏は訪朝したポンペオ米中央情報局(CIA)長官に「完全な非核化の意思」を伝えたが、米側は首脳会談開催の条件として、具体的な措置を明らかにするよう要求。原則的な合意にとどめたい北朝鮮との間で調整が続いていた。 北朝鮮は、今秋の米中間選挙の前にICBM開発を放棄して米国に首脳会談の成果を提供する案も検討していたという。北朝鮮のICBMは米本土に到達する能力を持つ一方、大気圏再突入技術が不十分との指摘が出ていた。試射中止は、事実上の開発中断を意味する。 また、正恩氏の宣言は、「完全な非核化の意思」を証明する前提を示したと