世界のほとんどの人から見れば、繁栄する韓国と、抑圧されているうえに貧しい北朝鮮との70年に及ぶ思想の戦いは大差で勝負がついている。だが、韓国与党の保守的な政治家たちにとっては、戦いはまだ終結にはほど遠い。 韓国教育省は今月、中学・高校の歴史教科書を民間の出版社が作成する現在の仕組み――現在は政府の検定に合格した教科書8冊の中から各学校が選択できる――を廃止し、これに代わる国定の教科書を1冊作成すると宣言し、政治的な大論争に火をつけた。 これにより韓国は、独裁体制下にあった1974年に導入され、5年前に廃止されたばかりの制度に戻ることになる。国定の歴史教科書のみを使う制度は現在、先進国ではほとんど見られない。 左派のイデオロギーを恐れ続ける政府 朴槿恵(パク・クネ)大統領は、既存の歴史教科書は左派に偏向していると主張している。この指摘は、北朝鮮に同情的な記述があるとか過去の独裁政権に対する批