2014年の東アジアは軍事的にも経済的にも、大きな目で見れば安定した1年だった。先月北京で開かれたAPEC会議では安倍晋三首相と習近平・中国国家主席との間で会談が実現し、朴槿恵・韓国大統領とも短いながらも会話が生まれ、日本の外交に一定の期待を残した。 東アジア情勢は近い将来どう変わるのだろうか。本稿では今年の進展を元に、来年注目すべき点を幾つか挙げたい。特にここ数カ月の政治・経済両面での動きは地域の安定にどう影響を与えるのかという問題に着目したい。 軍事対立は東アジアで戦争を引き起こすか 安全保障の分野で最も大切な問題の1つに、戦争の可能性がある。とりわけここ数年の間で日本を取り巻く環境は厳しくなってきており、専門家の間でも尖閣地域での日中の軍事衝突の可能性とシナリオが分析されている。冷戦中にあったソ連からの脅威は低下したぶん、北朝鮮や中国を中心とする西からの脅威が顕著になった。 中国の軍