ここに問題がある。自国のことを米国の最も信頼できる軍事同盟国と見なす国が、西側における中国の特別な友人にもなれるのか? 英国のジョージ・オズボーン財務相に聞けば、その答えは明快な「イエス」だ。ほかの人――ホワイトハウスやホワイトホール(英国政府)の人々――は別の見方をしている。 オズボーン氏は中国各地を巡り、北京の中央政府の権威が先住民のウイグル族に挑まれている、問題を抱えた新疆ウイグル自治区も訪れた。 財務相は商業契約に署名していない時には、あらゆる手を尽くして物議を避けた。オズボーン氏の狙いは、中国の習近平国家主席が10月に英国を公式訪問する際に、金融、投資に関する一連の合意文書に調印するお膳立てをすることだった。 オズボーン氏は、習氏が中国の資金をイングランド南部の新しい原子力発電所に投じたら、20億ポンドの納税者の支援を保証すると約束した。また、同氏は英国を中国独自の原子力技術の試
日本経済新聞社が1600億円の巨費を投じて、英国の高級紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」を買収する。各紙はかなりのスペースを割いてこのニュースを報道したほか、本来、メディアとは一定の距離を置くべき政権幹部までもが賞賛コメントを出すなど、ちょっとしたお祭り騒ぎとなっている。 こうした巨額買収は、世間の耳目を一気に集めることになるため、一種の昂揚感のようなものが醸成されがちである。だが、世紀の大型買収と騒がれたものの、十分な成果を上げられなかったケースは過去にいくつもある。日経によるFT買収は大きなニュースではあるが、ここは冷静な対応が必要だろう。 はっきりとした戦略が見えない今回の買収劇 日本経済新聞社は7月23日、英国の経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)を買収すると発表した。買収金額は、8億4400万ポンド(約1600億円)で、日本企業よる海外メディアの買収としては過去最大規模。こ
2013年2月に起きた電気料金の高騰に抗議するデモは内閣を総辞職に追い込んだ(写真はブルガリア・ソフィアで機動隊に投石するデモ参加者)〔AFPBB News〕 2012年1月にブルガリアで環境保護主義者が街頭デモを繰り広げた時、ボイコ・ボリソフ首相が折れ、政府が米石油大手シェブロンに与えていた、同国随一の小麦生産地でのシェールガス探査の認可を撤回するまで1週間程度しかかからなかった。 その13カ月後、電気料金と燃料価格の急騰が引き起こした別の抗議デモの波がボリソフ氏率いる中道右派政権を崩壊させた時には、欧州連合(EU)最貧国のブルガリアで、ついに市民社会が成熟したように見えた。 しかし、ブルガリアの首都ソフィアでは、ロシアが自国の目的のためにデモの扇動に手を貸したと考える人もいる。 こうした人たちは、デモ参加者を送り込み、シェール開発に反対するメディアキャンペーンに資金を出した地元団体とク
安倍首相はかつて、福島のような事故は「起こり得ない」と語ったことがある。現在はそれより慎重になり、日本を事故のリスクがない空想的な国ではなく、原発の安全性で世界に冠たる国にすると語っている。だが、原発を巡る議論は一部の人が望んだほどには変わっていない。 原発の安全性に議論が集中することの弊害 近く新基準に適合したと判断される見通しの原発が立地する鹿児島県の知事は、中央政府が「安全を保証する」場合に限って、再稼働を支持すると語っている。今年5月には、福井県の裁判所が、原発を再稼働するリスクがゼロであると証明する手立てがない――これは根本的に不可能なこと――との理由で、別の原発の再稼働を差し止めた(この判決は抗告審で覆された)。 安倍首相は痺れを切らしつつあるようで、原子力規制委員会に名を連ねる慎重な地震学者の島崎邦彦氏を、より原発に前向きとされる別の地震学者に交代させた。この人事は政治の介入
(2014年7月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 「安全神話」が再び日本の原発論争に紛れ込もうとしているのだろうか? 福島第一原子力発電所で2011年にメルトダウン(炉心溶融)が起きた後、日本の評論家たちは一斉に原発の安全神話は崩壊したと断言した。この言葉は多くの人にとって、一般的に原発を非難する手段以上の意味を持っていた。大災害を招いた具体的な故障原因を説明し、責任を割り当てようとする試みだったのだ。 リスクを隠して国民に原発を売り込んだ「安全神話」 安全神話という考えは、馬鹿らしいほど単純な謳い文句で原発が日本国民に売り込まれたことと、その結果生まれた原発規制のあり方を象徴するようになった。1960年代に日本の指導者らは、広島や長崎の惨禍をまだ鮮明に覚えていた国民に原子力技術を売り込んだ際、原発のリスクを取り繕った。民生用原子力はただ安全なだけでなく、絶対に安全だと彼らは言った
フランスは原子力に対する高い依存度を大幅に下げることを目指し、原発の発電能力に上限を設定する。 社会党政権が18日に明らかにした「エネルギー転換法」はフランソワ・オランド大統領の選挙公約の1つを改めて打ち出したもので、現在は先進国最高の約75%に上るフランスの総発電量に占める原子力の割合を2025年までに50%に引き下げるという内容だ。 批判的な向きは、政府はフランスが欧州で最安値の部類に入る電力料金を設定することを可能にした貴重な戦略資産を傷つけると言う。 エネルギーミックスを見直し、原発依存を低減 だが、政府は左派および連立相手の緑の党からの圧力を受け、フランスは他国に後れを取っている非原子力の再生可能エネルギー分野での成果を高め、野心的な環境目標を達成するために、エネルギーミックスを再調整する必要があると主張している。 「我々は原子力を廃止するわけではないが、(エネルギーミックスにお
(2014年3月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 欧州連合(EU)が対応に苦慮する状況を考え出さねばならないとしたら、ソブリン債務危機とロシアの軍事侵攻の2つが明白な候補だったろう。そのような状況が相次いで現実と化したことは、運が悪かったのかもしれない。だが、運の悪さは、近年のユーロ圏の債務ドラマや、ウクライナを巡る現在のロシアとの外交的対立が露呈させたEUの設計上の根本的欠陥とは何の関係もない。 どちらのケースも同じ中心的な欠陥を浮き彫りにした。すなわち、加盟28カ国の利害が一致していないということだ。 華々しい名前を冠した合意を考え出すことでこの欠陥を覆い隠そうとすることに多大な労力がつぎ込まれている。だが、根底にある現実は誰の目にもはっきりしている。銀行破綻処理制度に関する昨年12月の合意は極めて弱く、これでは中規模のカジノも処理できない。 そして今、欧州理事会がロシアに対す
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