「ヤスシ・アカシという人物は災禍だった。国連の歴史にも特筆される大災禍だった。アカシのためにボスニアでの平和維持活動(PKO)は歴史上でも最も効率の悪い軍事行動となってしまったのだ」 ジーン・カークパトリック氏は「アカシ」という名を口にするとき、とくに力をこめ、表情を険しくした。同氏は一九八〇年代にレーガン政権の女性国連大使として活躍し、いまもブッシュ政権から国連人権委員会の米国首席代表に任じられた高名な国際政治学者である。 同氏はワシントンの大手シンクタンクのAEIが六月中旬に催した集いで国連の平和維持活動について講演し、過去の失敗の最大例としてボスニア紛争への一九九四年からの国連の介入をあげ、その介入の責任者の明石康氏を糾弾するのだった。 明石氏といえば、日本ではまさにミスター国連として名声が高かった。九二年のカンボジア和平での国連代表としての実績は国際的にも広く認められた。九四年には
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