【藤本欣也の中国探訪】記者おびき寄せ特定→「公安風」が取り囲む 劉暁波氏「最後の地」厳戒下の瀋陽で見たのは異様な情報戦だった 獄中でノーベル平和賞を受賞した中国民主活動家、劉暁波氏が死去したニュースは世界を駆けめぐった。例外は中国である。報道を規制し国内で影響が広がるのを押さえ込んだ。しかし劉氏は自らの死と引き換えに、死んでもなお自由が認められない中国の異様な実態を世界の前に示した。私服の警察関係者が大量動員され、厳戒態勢が敷かれた劉氏最期の地、遼寧省瀋陽市から報告する。 ■ ■ 劉氏が入院していたのは、瀋陽市中心部の中国医科大付属第1病院である。ホームページ(HP)を通じて、劉氏の病状について「危篤」と公表したのは7月10日だった。 夕方に一報を得て北京の支局を飛び出し、飛行機に乗って瀋陽に到着したのが同日深夜。空港でタクシーをつかまえ、ようやく病院の正門前にたどり着いた。が、どこ