「自衛隊基地反対 島の元気をみんなでつくろう」と書かれた看板はすっかり色あせていた。日本最西端の与那国島(沖縄県与那国町)。二〇一五年二月、陸上自衛隊配備の賛否を問う住民投票が実施され、誘致賛成が上回った。 政府は海洋進出を強める中国を念頭に、与那国を離島防衛の要と位置づける。配備に反対した町議の田里千代基(60)は、島を二分した問題をこう振り返る。「住民投票という手法は間違っていない。だが、住民投票条例が成立した時には既成事実ができて、住民にあきらめムードが漂っていた。それでもやらんといけないということでやった」