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ISに名指しで報復を予告された中国には多少の同情もするが、この状況は2009年の7・5事件に象徴される中国共産党のウイグル弾圧が背景にあり、これまでの中国民族政策の失敗の結果という見方もできる。この失敗の原因を冷静に分析せずに、この後におよんで、宗教過激派のテロを防ぐという建前で1000万人規模の民族を丸ごと洗脳して信仰とアイデンティティを放棄させようとする完全な民族浄化など、21世紀の文明国の想像の斜め上をいく蛮行であり、これに共感や理解を寄せる先進国は皆無だろう。中国の民族政策がこの方向性を突き進む限りは、新疆の平和安定どころか、より強い恨みと復讐心を生み、新疆の内戦化が本格化するのではないか、と懸念するのである。 人権問題に踏み込んだトランプ政権 ところで、長らく米国を含め先進国がなかなか踏み込もうとしてこなかった人権問題としての新疆ウイグル問題が、このところ報道を含め活発化している
こうしたウイグル側の主張を受けた米政権および米メディアの態度に対して、中国は強く反駁している。 国連の人種差別撤廃委員会でのゲイ・マクドゥーガルの証言に対しては、中国統一戦線部第九局副局長の胡連合が次のように反論した。 「100万人を強制収容しているという事実はない。確かに再教育施設は存在しているが、その名称は職業訓練センターであり、宗教過激派に騙された人々に対し、新たな居場所をつくり教育によって助ける場である。……だが、目下、そのセンターで何人が生活しているかは私も知らない」 統一戦線部第九局というのは、2014年に新設された新疆問題を担当する部署。この部署の建前は、新疆の三種勢力(テロ勢力、民族分裂勢力、宗教過激派)における幾多の深刻な社会問題を解決し、新疆の安定を図ることを目的とする。 中国のタブロイド紙・環球時報は胡連合の発言を踏まえて8月13日に「新疆を中国のリビアにしないこと、
WSJがウイグル弾圧報道を強化 亡命ウイグル組織から断続的にこうした強制収容所の実態については情報が出ていたが、最近になってウォールストリートジャーナル(WSJ)がこの問題の報道に力をいれている。WSJ社説(8月13日付)で中国のウイグル弾圧への強い警告を発信。在米ウイグル問題研究者のアドリアン・ツェンツ氏の発言を引用する形で、この2年間に北西部の少数民族ムスリムが数十万単位で強制収容所送りにされている可能性を指摘。著名なウイグル族の民族学者で新疆大学教授のラハイル・ダウットが昨年12月以降、北京で姿を消したことなどにも触れ、中国のウイグル弾圧は国際社会が関心を寄せるべき重大な人権問題としている。 さらにWSJは強制収容所付近の現地取材や米国の衛星写真などを根拠とした秀逸なリポート(8月17日付)を発表している。カシュガルに近い疏勒県付近の衛星写真の2017年4月17日と2018年8月15
中国でウイグル・ムスリムを対象とする強制収容所が急速に拡大していることが、米国の衛星写真などから判明している。収容者は少なく見積もっても100万人、あるいは200万人を超えているという推計もあり、中国の宗教、“少数民族”政策の苛酷さがこの2年で急激に増していることがうかがわれる。外国ジャーナリストが新疆地域での取材の自由を奪われて久しいが、一部記者は現地の強制収容所周辺も果敢に取材している。また、強制収容所からかろうじて国外に逃げだした人たちの証言も表に出だした。新疆地域のムスリム迫害の状況をまとめてみたい。 中国国内のウイグルを中心とするムスリムの弾圧状況は2009年の7・5ウルムチ事件以来、外国記者らが現地で自由に取材することが叶わず、一部の在外ウイグル人組織経由で発信される以上の情報がなかなか出ない状況だ。だが昨年暮れあたりから米国メディアを中心に現地のウイグル・ムスリム弾圧状況への
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