(2014年10月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は意気地無しなのか? 大統領には男らしいイメージがあり、クリミア併合で西側に衝撃を与えた。しかし、モスクワには、プーチン氏がさらに踏み込まなかったことに苛立っているように見える強硬派がいる。 そんな1人がヴャチェスラフ・ニコノフ氏。ロシア下院の教育問題委員会委員長で、ヨシフ・スターリンの下で長年外相を務めたヴャチェスラフ・モロトフの孫である。ニコノフ氏は、プーチン氏のウクライナ政策を「非常に慎重」と評している。 ロシアに広がるナショナリズムと西側への疑念 筆者は先週、下院内のニコノフ氏の執務室に座り、祖父ならウクライナをどう扱っただろうかと尋ねた。若干顔を赤らめながら、ニコノフ氏はこう答えた。「モロトフならウクライナに侵攻し、1週間で掌握しただろう」 もしニコノフ氏の見解が主流から遠くかけ離れてい
イスタンブールは魔法のようなエネルギーを少しも失っていない。だが、トルコは地政学的な羅針盤をどこかに置き忘れてしまった。 今から数年前、レジェップ・タイイップ・エルドアン氏が率いる政府は東の方を向いた。トルコを欧州連合(EU)から締め出しておく気の欧州に蔑ろにされ、トルコは中東情勢を左右する大国としての自国の地位を高らかに宣言した。 近隣諸国とは一切問題を抱えていないと、政府のスローガンは謳っていた。トルコは、アラブの反乱から姿を現わすイスラム教民主主義国にとっての模範になるはずだった。 変わる中東情勢、賭けに負けたエルドアン氏 活気あるイスタンブールの街頭のシリア難民は、別の物語を語っている。機会に満ちた地域は混乱地帯と化している。すべてが始まったチュニジアを除き、民主化の春への崇高な期待は消え失せた。エジプトは独裁政治に戻った。リビアは破綻国家になり、シリアは血みどろの戦場になった。エ
古代ギリシャの時代から、医師は何よりもまず人に危害を加えないことを誓ってきた。これは超大国にとっても重要な原則だ。外交で解決できるのであれば、武力に訴える必要などない。 バラク・オバマ大統領の「ヒポクラテスの誓い」、すなわち「ばかなことはするな」という言葉で表現される外交姿勢は、同氏が所属する民主党内でもばかにされている。イラクのイスラム主義者の進軍やウクライナの親ロシア派分離主義者の武装集団によるミサイル発射はすべて、オバマ氏の慎重姿勢が間違っていることの明確な証拠だと受け止められている。 米国が自制する時代は終わりつつあるのだろう。オバマ氏が巻き返すとしたら、残された時間はあと2年だ。 悲しいことに、オバマ氏は自分のドクトリン(主義)を友人に納得させることすらできなくなっている。同氏が2008年の大統領候補指名選挙で勝利を収めたのは、イラクでの「ばかげた戦争」に反対したからだった(もち
(2014年8月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 米企業2社が米商務省から「コンデンセート」――最低限の加工処理を行った超軽質原油の一種――を輸出する許可を得たことを明らかにしたことで、米国のエネルギー政策は今月初めにちょっとした節目を迎えた。 残念なことに、1970年代のアラブ諸国による原油禁輸措置を受けて導入された広範な原油輸出禁止措置はまだ有効だ。ホワイトハウスは直ちに、今回の輸出許可は例外的であることを明確にした。多少制約が少ないとはいえ、これと似た規制が米国のフラッキング(水圧破砕)ブームの産物である液化天然ガス(LNG)の輸出にも適用されている。 バラク・オバマ大統領率いる米政権は、環大西洋貿易投資協定(TTIP)にエネルギー条項を盛り込むことを求める欧州連合(EU)の要求を拒んでいる。 オバマ氏は考え直すべきだ。TTIPがその野心に近い目的を達成しようとするなら、エネル
「安倍は中国の最高指導者を追いかける存在になった。中南米だけでなく、世界中で」。滕氏は得意げにそう語った。そして、日本はやっても無駄だ、外交、商業両面で中国はすでにずっと先を走っているのだから、という内容の話を続けた。日本の朝日新聞でさえ、安倍氏は「巻き返し」を図っていると書き、中南米の地に降り立つころには中国がめぼしいものをほとんど持ち去っているだろうとほのめかした。 日本の経済規模は5兆ドルで、中国のそれは9兆ドルだ。従って、日本がアジアの新興大国と同格で競うことを期待することはできない。しかし、日本と中南米の間には昔から貿易・投資の面で強い結びつきがある。安倍氏は、このつながりを利用したいと考える財界人70人を中南米に同行させている。 中南米と日本の強い結びつき 日本はメキシコと経済連携協定を締結しており、メキシコにとっては第4位の貿易相手国だ。日産自動車、ホンダ、マツダは最近、米国
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