両論併記のない戦争報道はプロパガンダと同義だ。 相手の情報発信がたとえフェイクだとしても、その内容から相手が何を喧伝したいのかが推測できる。また、自分たちが発信する情報が戦意発揚や劣勢を隠蔽することにつながっていないかを冷静に見極めるためにも、異なった主張に耳目を傾けることには意味がある。 今年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻をめぐる報道に、こうしたメディア・リテラシーを見出すことは難しい。なぜなら、我々が得ることができる情報は、そのほとんどが欧米諸国からの一方的なものだからだ。 シリア情勢をめぐる報道においても、メディア・リテラシーを感じ取ることはできない。なぜなら、両論併記はおろか、一方的報道すら行われないからである。 ロシア軍による爆撃シリア北西部のイドリブ県で、ロシア軍戦闘機が9月8日に爆撃を実施した。 シリア領内での爆撃は、9月6日にイスラエル軍が民政施設であるアレッポ国際空