「戦争は、防衛を名目に始まる/戦争は、兵器産業に富をもたらす/戦争は、すぐに制御が効かなくなる/生命は、誰かの持ち駒ではない/血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい(抜粋)」。安保法案への反対の声が高まった二年前、京都大の研究者らが発した声明に、ネット上で共感が広がった。その声明づくりで中心となった京大准教授の藤原辰史さん(41)の専門は農業技術史。トラクターや化学肥料が戦争に転用されるなど、私たちの暮らしと戦争が根深く絡み合うことを解き明かし、戦争をさせない暮らし方を模索する。 私は農家出身で、原初体験は祖父の怒鳴り声だった。トラクターは小学生の目にはかっこいい。乗りたいと近づくと「あぶない」と。危険なものだとたたき込まれた。大学院に入り、ナチス時代の農民生活を知ろうと当時の新聞を調べると、トラクターの広告がいっぱい出てきて、その研究に夢中にな