これらの厳しい指摘に対して、中国から参加した朱鋒氏(南京大学)は、中国以外の地域諸国も海洋における自己主張を強めていることに言及しつつ、アジア諸国における安全保障のジレンマを回避すべきであると反論した。安全保障のジレンマとは、一国が自身の安全のために軍備増強に邁進すれば、近隣国もそれに対抗するために同様の軍備増強を行い、その結果として地域全体の安全保障が損なわれるという、安全保障における典型的な議論のことである。 また、台湾からかけつけた林泉忠氏(中央研究院)は、台湾の参加なくして南シナ海の海洋紛争の解決はあり得ず、台湾は交渉の当事者たるべきことが強調された。日頃あまり聞くことができない台湾からの見方が聞けたことは実に興味深い。 日本の香田洋二氏(元海上自衛官)は、南シナ海の現在埋め立てが行われているウッディー島(中国名:永興島)とジョンソン南礁(同:赤瓜礁)やファイアリー・クロス礁(同: