ただ、モスクワで暮らした者としての印象を言えば、西側による制裁を感ずることは少なく、日常生活への影響は制裁への対抗措置としてロシア政府により導入された輸入規制措置によるものがほとんどだったと言える。 今回は、経済制裁以降、ロシア市民の食生活がどのように変わりつつあるか、ご報告したいと思う。 レストラン「ラフカラフカ」 12月のある日、銀座で言えばみゆき通りとでも言おうか、都心の一等地ペトローフカ通りにあるレストラン「ラフカラフカ」で食事をした。 予約の取れない店として有名だが、それにはそれだけの理由がある。まず、使用する主たる食材はすべてロシア産で生産者が分かるもの、輸入品は使用しないというポリシー。それも愛国主義のためではなく、それが一番安心できる仕入先だから、という。 レストランに隣接した小さな売店では、彼らが契約しているロシア各地の農場から直接仕入れた有機野菜、酪農製品などが販売され