<シリアでの拘束から3年4カ月ぶりの解放――交渉の背景には知られざるウイグル人の存在が> トルコ南部のハタイからシリア北部のイドリブ県に15年6月22日深夜に密出国し、翌23日に何者かに拘束されたジャーナリストの安田純平氏が、3年4カ月ぶりに釈放され帰国した。 ウイグル問題を研究する私がこの件に関わったのは、安田氏が行方不明になった後の7月4日、彼の友人である常岡浩介氏から「救出に協力してほしい」と依頼されたことがきっかけだ。中国政府に弾圧されたウイグル人亡命者への聞き取りをしていた私には、イドリブ県のウイグル人勢力とチャンネルがあった。 当時、多くのウイグル人がシリアの反体制武装勢力ヌスラ戦線の中に「トルキスタン・イスラム党」という組織名で義勇軍として参加していた。中国で独立運動を始めるため、軍事技術を習得することが目的だった。世俗的な考えの者が多くを占める彼らなら話しやすい。 それから
無事が確認されたフリージャーナリスト安田純平さん(44)。親交のあるジャーナリストたちは、解放に向けた情報収集をひそかに中東で続けていた。「よく耐えた」「また取材活動を」。3年あまりの空白を経て、再会を待ち望む声が次々と上がった。 「安田さんの無事が確認できてよかった。3年間、健康状態を保ったままで、よく生き抜いたと思う」 ジャーナリストの藤原亮司さん(50)は安心した様子で語った。 2016年1月、シリア国境近くのトルコ南部シャンルウルファ。藤原さんは、当時安田さんを拘束していたとみられる過激派組織ヌスラ戦線(現・シャーム解放委員会)の「代理人」を名乗る男性とカフェで会い、一通の手紙を渡した。「安田は日本のジャーナリストで長らく中東を取材してきた。解放してほしい」。英語とアラビア語で、そう記していた。 単身でトルコ入りしたのは安…
内戦下のシリアでイスラム過激派組織に拘束され、3年4カ月ぶりに解放されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)が、25日午前2時(日本時間同日午前8時)ごろ、トルコ・イスタンブールから空路で帰国の途に就いた。安田さんは機内で断続的に朝日新聞記者の取材に答え、拘束中の日々を振り返った。 (おことわり)原則として安田さんの言葉に忠実に掲載しています。話の順序については一部再構成しました。 【今の心境】 自由になれたのは本当にうれしい。筋肉がすっかり落ち、非常に疲れやすくなった。特定のどこかがどうというわけではないんですが、体力が極度に落ちてしまっている。事実上、虐待状態がずっと続いていた。精神的な負担もかなりありました。拘束前と今とでは体(の状態)が全く違う。 ――戻ったらやりたいことは? ジャーナリスト活動は続けますか? 3年間まったく情報がないので何もないです。日本で何かやれたらいいで
内戦下のシリアで2015年6月に行方不明になったフリージャーナリストの安田純平さんが解放された。安田さんは日本時間の午前8時、トルコへと出発する機内で記者団のインタビューに応じ、ネットに投稿された動画での「韓国人」発言の真相や、身動きも許されず、暴行を受けたことなど、壮絶な人質生活について語った。 安田純平氏(以下、安田):お騒がせしまして…。 ーー奥さまとはお話になれました? 安田:電話で話をしました。 ーーどんな感じ? 安田:予想以上にたくましく対応していたようなので、よかったなって。家族には“シリアに行く“ぐらいの話はするが、詳しい話はしていない。なので、こういうことがあると巻き込まれる状態なんですけど、そういう状態を受け止めてくれて、対応してくれて、ありがたいなと。 ーー奥様には何と伝えた? 安田:状況の話ばかりしていたんですけど、“ありがとう“という言葉と、“申し訳ない“という言
【全文】身動きも許されず、殴る蹴るの暴行も…安田純平さんが機内で語った壮絶な人質生活と「韓国人」発言の真相 ーー韓国人のふりをしたのはどういうこと? 周りに囚人がいるので、日本人であることとか、私の実名を言うと、ほかの囚人が聞いて、もし彼らが解放された後に、私の監禁場所を知っているので、例えば日本側に通報するとか、他の組織に通報したら、彼らにばれちゃうじゃないですか。だから実名を言うとか、日本人と言うこととかは禁止されていた。あのビデオというのは、そういうルールを守って最後まで撮れれば今日解放するかもよ、みたいな、ゲームみたいな感じなんです。 あそこの施設は中国から出てパキスタンの部隊をやっているので、あそこの施設の中では韓国人と言っていて、その前は中国人と言っていた。そこでは韓国人と言われたから、韓国人と言った。「ウマル」というのは、拘束中に事情があってイスラム教に改宗しないといけない状
政府関係者によりますと、シリアで武装組織に拘束されているとみられるフリージャーナリストの安田純平さんが解放され、トルコ政府の保護下にあるという情報があり、政府は確認を急いでいます。 安田さんは、3年前の6月、シリアの内戦を取材するため、トルコ南部から国境を越えてシリアに入ったあと行方がわからなくなりました。 現地の武装組織に拘束されているとみられ、おととし3月には、安田さんとみられる人物の映像がインターネット上で公開されたほか、その2か月後には「助けてください。これが最後のチャンスです」などと日本語で記された紙を持った画像が、インターネット上に投稿されました。 また、ことし7月には、安田さんとみられる人物が英語で助けを求める映像がインターネット上に2回相次いで投稿され、菅官房長官は、映像は安田さん本人とみられるとして、情報収集にあたるとともに、解放に向け引き続き全力を尽くす考えを示していま
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