10日、ベトナム中部のリゾート地、ダナン。初めてアジアを歴訪したトランプ米大統領の演説を各国の閣僚や企業経営者らが固唾(かたず)をのんで見守っていた。トランプ氏が、初のアジア戦略を打ち出す予定だったからだ。 「インド太平洋のすべての国家が繁栄と安全保障の促進のために力を合わせる新たな協力関係を提案する」。トランプ氏はこう強調し「自由で開かれたインド太平洋」構想を披露した。 このインドを巻き込んだアジア戦略は元々、日本政府が提唱した外交構想と重なる。トランプ政権が明確なアジア戦略を決めあぐねる中、日本は水面下で新戦略の採用を働きかけてきた。内幕を知る米通商関係者も「日本からもらったアイデアもある」と今回の新戦略に日本が影響を及ぼしたことを認める。一方で複数の政府関係者によると、新戦略はわずか数週間で練られたといい、「付け焼き刃」であることは否めない。
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