自主規制する日本のメディア 日本は、どうなのだろうか。2014年には、『美味しんぼ』(原作・雁屋哲、作画・花咲アキラ)の描写が問題になった。登場人物が福島第一原発の取材に行った際に、原因不明の鼻血を出す場面などが描かれたことに対して、読者から「風評被害を助長する」といった批判が出て、舞台となった福島県双葉町が出版社に抗議する事態になったのだ。出版社は、連載を続けるとともに、「ご批判、お怒りは真摯に受け止めて、表現のあり方を今一度見直していく」といった釈明を雑誌に掲載した。 「原発問題でも、海外からたくさんの風刺漫画が送られてきましたが、奇形とか甲状腺ガンとか、それこそ『住民感情を損ねる』ようなものもありました。日本のメディアで掲載するのは無理でしょうね」と、山井さんは言う。 山井さん自身、今回の原発事故が起きる前に、新聞の4コマ漫画で、サンタクロースが原発の煙突から入ろうとする絵を描いたと