安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と会談し、北方領土問題を含む平和条約交渉を再開し大統領の来年来日へ準備をすることで一致した。 北方四島をロシアに返還させたうえで日露平和条約を結ぶことは年来の国家目標であり、交渉再開は必要だ。 しかし、ロシアの軍事介入でウクライナ情勢が再び悪化する中で、最大の責任者の来日準備に入ることは拙速であり、危機認識が甘いというほかない。 会談は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の地、北京で行われ、両首脳は昨年4月の日露共同声明に基づき、「双方に受け入れ可能な解決策」の模索と外務次官級協議の再開を確認した。昨春時点に戻ったにすぎないとはいえ、交渉が足踏み状態を抜け出す意義は小さくない。 ロシアは今、ウクライナ侵略に伴う欧米主導の制裁で国際的孤立や通貨ルーブルの暴落を招き、虎口(ここう)を脱すべく外交、経済両面で中国に急接近する。首脳会談には中国の手から