(英エコノミスト誌 2014年11月22日号) 安倍晋三首相は権力基盤を固めるために解散総選挙に踏み切った。有権者は首相にもう1度チャンスを与えるべきだ。 安倍晋三氏が2012年の暮れに、自分こそが経済を救い、日本を再生させる人間だと訴えたとき、有権者は彼に総選挙での地滑り的勝利を与えた。 それからわずか2年。首相は衆院を解散して12月14日に総選挙を実施すると宣言し、「私たちはこのチャンスを決して手放すわけにはいかない」と言い切った。 驚くまでもなく、多くの日本人は、自分たちは同じ馬を2度買うよう求められていると考えている。 政治的な計算は明白だ。安倍氏の支持率は、今秋まで同氏が謳歌していた重力に抗うような高さから急落した。であれば、国防政策や停止中の原発の稼働再開を巡る来年の戦いの前、さらに言えば自民党内で安倍氏に対する不満の声が高まる前に、今、あと4年間の任期を目指した方がいい、とい
Paul Krugman “The Right Course for a Troubled Japan,” Krugman & Co., November 26, 2014. [“Structural Deformity,” The Conscience of a Liberal, November 20, 2014.] 苦しむ日本がとるべき道筋 by ポール・クルーグマン Stephen Crowley/The New York Times Syndicate 日本の安倍晋三首相が消費税増税の延期を模索してるのは,正しい.延期はいい経済政策だし,ぼくにとってはかなり新鮮な経験でもある――国のリーダーと会って,正しい政策の主張をして,その相手がまさにそのとおりにやってるんだもの.(もちろん,同じ主張をしてた人はぼく以外にたくさんいる.) ただ,懐疑の声もたくさんある.全面的に正当な疑いだ:
(2014年11月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 安倍晋三氏が最初に首相を務めた精彩を欠く第1次安倍内閣と、超エネルギッシュで異様に活発な今回の仕事ぶりの対比があまりに著しいため、日本人は同氏を「安倍2.0」と呼ぶようになった。 2年近く前に政治的なカムバックを果たして以来、安倍氏は2007年に終わった最初の惨めな12カ月間の登板の記憶をすべて消し去る任務を遂行してきた。償いをする決意は安倍氏の職務遂行に生まれ変わったかのような情熱を与え、支持者はこれに爽快さを感じ、反対勢力は恐ろしさを覚えている。 生まれ変わったかのような「安倍2.0」 経済的には、安倍氏は20年前に日本経済が停滞に陥って以来最も野心的な経済再生計画に乗り出した。外交上は、1980年代の中曽根康弘氏以降のどの首相よりも積極的に活動し、地域と世界を飛び回っている。 防衛に関しては、日本を憲法の制約から解き放ち、正
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