ロシア正教のトップであるキリル総主教は、ロシアがウクライナに侵攻した2月の数日後、「祖国防衛の日」として発表した。キリル総主教は、プーチン大統領の「ロシア国民への奉仕」を祝福し、兵役を賞賛している(注1)。ウクライナで続く戦争については、正義と悪の「黙示録的戦い」に他ならないとさえ語ってもいる。キリル総主教にとって、この戦争の結末は「神のご加護を受けられるか否かという人類の行方」を決めることになるようだ(注2) ロシア正教会が国家の軍事に口をだすというのは、今にはじまったことではない。シリア内戦にロシアが介入した時はもっとはっきりと「キリスト教徒を解放する聖戦」とキリル総主教は発言している(注3) このように教会人が軍事行動を祝福するのは、ビザンツ帝国(東ローマ帝国)の文化を色濃く受け継いだものと思われる(注4)。ビザンツ帝国時代は、皇帝と総主教を中心とする独特の信仰体系で権威が作り上げら
ユーラシア・セミナー「世界中の独立正教会と自治正教会」で講演したクリメント北原史門神父=12日、東京都品川区の立正大学品川校舎で 歴史と現代に見る事例から世界の諸正教会の姿を概観しようと、ユーラシア研究所(東京都世田谷区)は12日、立正大学品川校舎(同品川区)11号館8階第6会議室で、日本ハリストス正教会教団の東京復活大聖堂教会(同千代田区、通称ニコライ堂)司祭のクリメント北原史門神父を講師に、ユーラシア・セミナー「世界中の独立正教会と自治正教会」を開催した。 「いろんな世間におけるステレオタイプ―正教会というのは皇帝教皇主義であるとか、正教会はギリシャ正教会とロシア正教会であるとか、ロシア正教会は正教会の盟主であるとか―、そういったことがいろんな事例で矛盾を生じさせる、大変誤ったステレオタイプであるということをいろいろ申し上げてきたところであるが、そういったことを前提にして、ご研究いただ
【ローマ福島良典、モスクワ杉尾直哉】キリスト教カトリック教会の頂点に立つフランシスコ・ローマ法王(79)と、ロシア正教会最高位のキリル・モスクワ総主教(69)が12日、キューバの首都ハバナの空港で約2時間会談した。両教会トップの会談は史上初。両者は共同宣言に署名し、過激派組織「イスラム国」(IS)によるキリスト教徒迫害に危機感を表明するとともに、中東からのキリスト教徒「追放」と「新たな世界戦争」を阻止するよう国際社会に要請した。 カトリックと東方正教会は1054年に分裂した。各国の東方正教会の中で、ロシア正教会は1億人以上の信徒を擁する最大組織。法王と総主教は初会談で、和解と協力に向けての歴史的な一歩を踏み出した。
ロンドン(CNN) ローマ法王庁(バチカン)は5日、カトリック教会のフランシスコ法王が12日にロシア正教会トップのキリル総主教と会談すると発表した。両教会のトップが会談するのは史上初めて。 会談は12日、キューバで行われる。キリル総主教はキューバを公式訪問する予定の一方、フランシスコ法王はキューバを経由してメキシコを訪問する見通しで、双方がキューバを中立的な場所と判断したとみられる。 バチカンとモスクワ総主教庁は共同声明を発表。フランシスコ法王とキリル総主教はキューバの首都ハバナにあるホセ・マルティ国際空港で「私的な対談」を行い、会談の最後には「共同宣言」に署名する予定だとしている。 両教会のトップが会談するのは史上初となる。東方正教会とカトリックは1054年に分裂。バチカンはこの数十年、正教会の一部の教派と関係修復を図ってきた。だが、ロシア正教会は、ソ連崩壊後にカトリック教会がロシア人を
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