根強い「カニバリズム」の伝説 「黒人がインド人の子供を誘拐して食べている」。インドの首都ニューデリー郊外で11月22日夜、ナイジェリアとタンザニア出身の男女計4人が暮らす民家が、このうわさを聞きつけた地元住民ら約200人に取り囲まれ、襲撃されそうになる騒動があった。男女は民家の窓から逃げたり、警察に救出されたりするなどして事なきを得た。地元警察は「黒人の中には不法滞在者もいたが、誰も誘拐されていないし、ましてや食べられた子供なんていない」とうわさを完全否定する。だが、黒人の「カニバリズム」(人を食べる習慣)を信じる地元住民は多い。 事件から10日後、現場となったカクロラ地区を訪れた。今にも崩れそうな木造の粗末な小屋が建ち並び、牛など家畜の排せつ物の異臭が鼻をつく。この地区には牛乳の産業に従事する貧しい労働者が多く住む。ここから約15キロ離れたグルガオンにはIT企業や外国企業が集積し、近代的