米朝首脳会談のための実務者による事前協議で、北朝鮮は核弾頭や大陸間弾道ミサイル(ICBM)、核物質の生産設備を含む核の全面廃棄を受け入れた模様だ。非核化に向け大きな前進といえる。ただ、双方の溝が埋まっていない非核化の期間や北朝鮮への見返りで、北朝鮮が望み通りの成果を得られない場合は、態度を変える可能性も残っている。 北朝鮮は過去の米朝協議や6者協議で、核兵器の実態を明らかにすることを拒んできた。2008年には6者協議で、「兵器用プルトニウムを38キロ生産した」などと申告したが、科学的な方法による検証を拒んだ。濃縮ウラン型の核開発についても明らかにしなかった。当時、交渉を担った北朝鮮外務省は「核兵器は軍の管轄」(金桂寛〈キムゲグァン〉第1外務次官)と説明し、核兵器は検証の対象に含めなかった。 米朝首脳会談で核の全面廃棄…