以前、現代ウクライナの社会問題について小文をまとめたことがあったのだけれど、諸事情により、現在に至るまで日の目を見ていない。たぶん、もう無理だろう。2012年に書いた原稿なので、ユーロマイダン革命後の今となっては内容的に古いのだが、まあ多少は皆様の参考になる部分もあるかもしれないので、以下お目にかけることにしたい。それにしても、下図に見るように、2012年の時点では、「近隣諸国からの領土要求」を憂慮するウクライナ国民は2.7%しかいなかったわけで、それだけにその2年後に起きた事件が驚天動地だったわけである。 ◆ まず、ウクライナ国民の全体像を示す数字を挙げておこう。2011年初頭現在のウクライナの人口4,560万人のうち、68.4%が都市に、31.6%が農村に住んでいる。国民の46.1%が男性、53.9%が女性である。世帯数は1,702万で、1世帯当たりの平均人数は2.59人。全世帯の51