中国政府による旅行業界の規制強化、2014年のマレーシア航空機の失踪事故などによって、中国からの観光客は減少傾向にあるという。だが、依然としてシンガポールを訪れる外国人観光客の中で中国人が最多であることに変わりはない。一時期より減ったとはいえ、やはりどこでもその姿を目撃するのである。 市況を狂わせた中国人の不動産投機 だが中国からの観光客に対する地元市民の印象は、決して好意的なものとは言えない。 「中国人観光客がシンガポールをすっかり変えてしまった」と語るのは、中国系シンガポール人のローさんだ。先祖は広東省の出身だというローさんは「不動産が値上がりしたのも、物価が上昇したのも、すべて中国人のせいだ」と恨みをぶちまける。 中国経済が上り調子だった2011年前後、団体旅行でシンガポールを訪れた中国人は、シンガポールの不動産に投資物件としてのうまみを見出し、次々に不動産を購入するようになる。やが