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11月7日、シンガポールで首脳会談を行うに当たって握手を交わす中国の習近平国家主席(右)と台湾の馬英九総統〔AFPBB News〕 習近平氏と馬英九氏との会談が歴史的なものだったことは間違いない。 ただ、習近平氏から「家族」という言葉を聞いた時、筆者はハリウッド映画に出てくるマフィアのドンがやるようなこの言葉の使い方を思い出した。つまり、魅力と威嚇を混ぜ合わせた使い方である。 実際、中国政府はまだ、台湾は反乱を起こしている省だと見なしており、もし独立を宣言するようなことがあれば、家族の一員を攻撃する権利があるとしている。 習近平主席の不安 両義性はこれだけで終わらない。数十年に及ぶ排斥に終止符を打った習近平氏の決断は、見方によっては、自信に満ちた指導者ならではの行動だった。だが、この大胆な行動は恐らく、自信と同じくらい不安を反映したものでもある。なぜなら、近隣諸国を見渡せば、そこには数多く
(2014年10月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 学生と香港政府の掛け金の高いポーカーゲームがありがたいことに流血沙汰もなく終わりに近づく中、民主派デモが香港にどんな長期的インパクトを与えるか考えるのも早すぎはしないだろう。 まず結論から述べるなら、この戦いの結末はあらかじめ決まっていた。香港は「真の」民主主義を採用すべきだとする学生たちの中核的な要求は、最初から通る見込みがなかった。 胴元が必ず勝ついかさまポーカー 北京は8月末に中央政府としての決定を言い渡し、香港の選挙規則に厳しい制限を設けていた。そのため、北京が学生たちの要求に屈することは、まず考えられなかった。 もしこれがポーカーゲームなら、それはいかさまだった。胴元が常に勝つのだ。 確かに、梁振英行政長官が率いる香港政府と民主派の活動家の「交渉」がこれから行われる。だが、香港の当局に交渉できる余地はほとんどない。 出され
香港を揺るがした騒々しい1週間は、民主派のデモ隊への催涙ガス発射に始まり、一見して組織的な街頭での暴力行為で終わった。 その間、見事に組織化され、終始礼儀正しい数万人の学生が「本物」の普通選挙を求めて世界有数の金融センターのいたるところにテントを張り、お祭り騒ぎのような祝賀の場面が見られた。 だが、追い詰められた梁振英・香港行政長官と、国営メディアが抗議運動を「無駄」と一蹴した北京の中国政府の発言がともにエスカレートする中、誰もが知りたかったのは、これがどのように終わるのか、ということだった。 学生たちが辞任を求めている梁長官は、6日までに秩序を回復するために「あらゆる必要な措置」を講じると述べ、事態がいっそう緊迫した。 支持者からも「部分的な勝利を宣言し、撤収を」の声 大学の学者を含む学生たちの支持者の中には、けがをする前に街頭から撤収するよう懇願する者もいた。5日夜、多くの抗議者は、警
だが、同サービスのユーザーは、監視システムに察知されるキーワードを付けずに抗議行動の写真や動画ファイルを投稿することで検閲を逃れることができた。 隣接する広東省の奥深くまで電波が届く香港のテレビ局では、進展する抗議行動の生放送が中国のケーブルネットワーク事業者によって遮断された。こうした事業者はBBCやCNNなどの国際的なテレビ局からの衛星放送も遮断することができる。 だが、中国本土では、セットトップボックスを設置することによって、インターネット上で遮断されることなく香港や諸外国の数百ものチャンネルをストリーミングできるテレビ視聴者が増えている。 香港のデモへの支持が中国本土に広がる恐れ 北京の政府関係者は、香港の抗議行動への支持を表明するデモが中国本土に波及しかねないことを特に懸念している。 「我々は香港の人々によるこうした愛国的な行動を支持する」と言うのは、フー・ボセンさん。彼は、香港
(2014年9月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 中国政府は9月29日、民主化推進を求める香港の活動家たちによる市民的不服従の共同キャンペーンに対して一歩も引かないという誓いを貫いた。 「困難は多少あるかもしれないが、国はそれらに対する準備ができており、中央政府も準備ができている」。中国の全国人民代表大会(全人代=国会)委員長の張徳江氏は8月末、香港のビジネス街を混乱させるという民主派団体「和平占中(オキュパイ・セントラル)」の脅しに暗に触れ、全人代の香港代表団にこう語った。 強硬姿勢を貫く中国政府 先週末に何万人もの抗議者がまさにそれを実行し、香港警察との衝突を招くと、中国政府は、同政府が「違法集会」と呼ぶものに反対する立場と、エスカレートする危機に対処する香港政府の能力に対する信頼を改めて繰り返した。 だが、2017年に予定されている香港行政長官選挙で候補者を選抜することを決め
同様な改革を求める動きが中国本土で直ちに引き起こされることがないように香港で民主的な改革を進めようという場合、一国二制度という統治方式は――香港が裕福で洗練された都市であることも手伝って――まさにうってつけである。繁栄する民主的な香港は、中国国内のほかの地方や都市で同様な改革を少しずつ進める際のモデルになるかもしれない。 残念ながら、北京の中央政府はそれとは逆の道を進む方針を固めているように見える。中国国内での民主主義の盛り上がりにつながりかねないことは認められないし、共産党の表明した希望があからさまに軽視される状況も容認できない、というわけだ。 中国政府はそう判断することで、香港の抗議行動の参加者と対決する道を選んでいる。デモ参加者が解散しなければ、中国政府が暴力的な介入を行うリスクが明らかに高まる。 中国政府の変節 中国がこの道に進む必然性はなかったし、今日でもない。1997年の返還後
(2014年9月30日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 香港市街で行われている大規模なデモは、中国政府にとって、北京の天安門広場とその周辺で民主化運動を鎮圧した1989年以降で最大の政治的難局になっている。 今回の香港のデモと、25年前の北京のデモとの間には不気味な類似点があり、中国共産党指導部は大いに動揺しているに違いない。 天安門と香港のデモの類似点と相違点 まず、今回もデモを主導しているのは民主的な改革を求める学生たちだ。また、今回も中央政府当局は事態を掌握できていないため、弾圧か屈辱的な譲歩かのどちらかを選ばねばならない状況に直面する恐れがある。 さらに、今回もまた、究極的には中国政府における共産党の権能と権限が問われることになっている。 ただ、2014年の香港と1989年の北京との間には大きな違いもある。まず、この25年の間に中国はとても豊かで強い国になった。 また中国政府当局
英国と中国が1984年に香港返還の条件で合意した時、中国サイドは香港が「一国二制度」の原則の下で運営されることに同意した。 これは中国が香港に対し、本土で認められているよりも大きな政治的自由を許すことを意味した。だが、中国政府は、香港にどんな選挙制度を持たせてもいいか後日決める権利を留保した。 不確実な時期を経て、中国は決断を下した。香港の市民は自分たちの指導者を選ぶことができる――ただし、それは香港市民が中国の特徴を備えた民主主義を受け入れる場合に限る、というものだ。 香港基本法の範疇でぎりぎり許される希薄な民主主義 中国政府が選んだ複雑な選挙プロセスは、基本法――1997年の香港返還前に中国が英国と調印した香港のミニ憲法――の条文の範囲内で許される中で最も希薄な形の「民主主義」だ。基本法の条文の中で、中国は香港市民が普通選挙によって行政長官――香港の市長に相当――を選ぶことに同意してい
(2014年7月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 陳方安生氏と李柱銘氏は7月半ばにロンドンにいた。香港の自由と法の支配のために長年戦ってきた両氏は、香港が1997年に英国から中国の統治に移った「共同声明」を守ることに対する精神的支援を期待していた。ところが彼らは、先祖伝来の邸宅に押し入ろうとする道楽者の遠い親戚のように迎えられた。 香港の元政務司司長の陳方氏と著名な弁護士兼政治家の李氏が少し前にワシントンを訪れた時は、米国のジョー・バイデン副大統領に迎えられた。ジョン・ケリー国務長官はワシントンを離れていたが、米国務省は真剣に話を聞く機会を設けた。 中国政府に配慮し、香港の活動家との面会を拒否 これに対し、デビッド・キャメロン英首相の官邸は、陳方、李両氏はロンドンで外務省の中堅幹部より上の高官に会うべきではないと判断した。対話は何の成果ももたらさなかった。 幸い、保守党が主導する連
(2014年6月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 元英国植民地の香港が政府トップの行政長官を選ぶ2017年の選挙の前にどのような普通選挙制度を導入すべきか議論するなか、中国が香港に対し、香港の民主主義には限度があると警告した。 中国国務院(内閣に相当)は10日、香港の自治の自由は北京の中央政府の支配下にあるということを香港政府に再認識させた。香港は、英国が1997年に香港を中国に返還する前に鄧小平とマーガレット・サッチャーが合意した「一国二制度」の取り決めの下で統治されている中国の特別行政区だ。香港は同制度の下、北京中央政府の領域である外交・防衛政策を除き、行政区を自ら治める自由を持つ。 白書で香港の自治権を牽制、「決定権を持つのは北京」 「香港特別行政区の高度な自治権は固有の権利ではなく、ひとえに中央指導部の承認に由来するものだ」。中国はこの問題に関する初の白書でこう述べた。 1
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