<エジプトとトルコに宗教や民族の絆を捨てさせた中国の札束外交。スンニ派分断に喜ぶイランも巻き込む民族弾圧の悲劇> エジプト政府は7月に入ってから、同国の名門アズハル大学に学ぶウイグル人留学生たちを相次いで拘束。中国へ強制送還を始めており、国際的な人権団体から批判されている。 10世紀に建立されたモスクをベースにしたアズハル大学は、知識人ウラマー(イスラム法学者)組織と付属の小・中・高校を包含する権威ある教育・学術機関だ。世界最古の大学を自任するこの大学は、総長の指導下にイスラム教スンニ派最大のウラマー集団を擁している。 世界から多くの留学生が集まり、アラビア語とイスラム法、イスラム学を習得しようと研鑽を重ねてきた。ここから出た学生たちの多くは、イスラム指導者として成長していく。ウイグル人学生も例外ではない。 ウイグル人は今や、かつてのユダヤ人同様ディアスポラ(離散)の状況にあると言っていい