イスラム教スンニ派で最も権威のある教育・研究機関エジプトのアズハル。 7月、ここに通う学生が当局に次々と拘束されました。 ターゲットは、中国・新疆ウイグル自治区から来たウイグル族の人たちです。 NHKは、拘束を逃れ、エジプト国内に身を隠すウイグル族の男性との接触に成功。 エジプトにいるウイグル族男性 「家族を置いて逃げたきり1週間ずっと外にいます。 知人の家に隠れて外出もできません。」 ウイグル族や人権団体は、中国政府の要請を受けた拘束だとみて、警戒を強めています。 海外に住むウイグル族に何が起きているのか。 断片的な情報から浮かび上がってきた実態に迫ります。 花澤 「中東のエジプトで7月、ウイグル族の留学生など少なくとも62人が、エジプト当局に拘束されたり、中国に強制送還されたりするケースが相次ぎました。」 増井 「アメリカ政府の諮問機関や国際的な人権団体などから、非難の声が上がっていま
<エジプトとトルコに宗教や民族の絆を捨てさせた中国の札束外交。スンニ派分断に喜ぶイランも巻き込む民族弾圧の悲劇> エジプト政府は7月に入ってから、同国の名門アズハル大学に学ぶウイグル人留学生たちを相次いで拘束。中国へ強制送還を始めており、国際的な人権団体から批判されている。 10世紀に建立されたモスクをベースにしたアズハル大学は、知識人ウラマー(イスラム法学者)組織と付属の小・中・高校を包含する権威ある教育・学術機関だ。世界最古の大学を自任するこの大学は、総長の指導下にイスラム教スンニ派最大のウラマー集団を擁している。 世界から多くの留学生が集まり、アラビア語とイスラム法、イスラム学を習得しようと研鑽を重ねてきた。ここから出た学生たちの多くは、イスラム指導者として成長していく。ウイグル人学生も例外ではない。 ウイグル人は今や、かつてのユダヤ人同様ディアスポラ(離散)の状況にあると言っていい
カシュガル旧市街は以前はウイグル人が暮らす土色の住居がひしめく迷宮都市だったが、政府が多くの住民に立ち退きを強制した SHUICHI OKAMOTO FOR NEWSWEEK JAPAN <中国共産党が「一帯一路」を武器に国外のウイグル人を強制帰国。しかし彼らの故郷は既に同化のために破壊されている> 13年に習近平(シー・チンピン)国家主席が新シルクロード経済圏構想「一帯一路」を提唱して以来、中国から中央ユーラシアに抜ける交通の要所に位置する新疆ウイグル自治区では、ウイグル人に対して手段を選ばぬ漢人への同化政策が強行されている。 「社会安定」を促進するために、テュルク系ムスリムであるウイグル人コミュニティーを暴力的に破壊。名実共に新疆を中華世界に併呑しようと中国政府は必死だ。追い詰められたウイグル人の反撃や難民化の問題は今や中国の枠を超え、世界に広がっている。 ウイグル人を併呑しようとする
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