空母や潜水艦を増強し、海軍の遠洋進出を図ってきた中国が近年、潜水艦の輸出を始めている。すでにバングラデシュ、パキスタン、タイのインド洋沿岸3カ国が購入を決めた。中国が長期的に運用を支援し、海洋データの収集も狙っているとみられており、インド洋での中国の軍事的影響力が強まるのは必至だ。 バングラデシュは2013年に中国から、原子力ではなくディーゼル機関を備えた通常型「明級」の中古潜水艦2隻の購入を決め、昨年3月就航させた。タイも昨年4月、中国製としては明級の2世代後継に当たる「元級」の新造艦1隻の購入を決定。さらに2隻購入する計画がある。 パキスタンは15年に中国の習近平(シーチンピン)国家主席が訪問した際、8隻を購入する話が浮上。16年に中国側が正式に確認した。8隻は元級で、うち4隻はパキスタンで建造される。 中国海軍は今世紀に入って、南シナ海など近海の海上優勢を確保する「近海防御」戦略から
「一帯一路」構想を進める中国が、陸に囲まれた中国南西部からベンガル湾やインド洋への出口を確保すべく、南方への進出を図っている。 “インドの裏庭”と言われるバングラデシュでも、近年は中国がインドを差し置いて触手を伸ばし、影響力が拡大するようになった。 バングラデシュでは2006年に、最大の輸入相手国がインドから中国に替わった。中国商務部によれば、その後、中国とバングラデシュの貿易額は2ケタ成長の伸びを示し、2014年の両国間の輸出入総額は125億4600万ドルに達した。同年の日本との輸出入総額は20億3700万ドルだから、その規模はざっと6倍だ。 また、インフラ建設など中国からの直接投資も日本をしのぐ。2014年、日本からバングラデシュへの投資は4140万ドルと前年よりも半減したが、中国からの直接投資は1億6000万ドルにまで伸びた。 バングラデシュ人と中国人の共通点とは 二国間の経済の結び
【ニューデリー=岩田智雄】インドのモディ首相は6日、バングラデシュを訪問し、首都ダッカでハシナ首相と会談した。両国は飛び地を交換する国境協定の批准文書を取り交わし、インド洋周辺で台頭する中国を念頭に、インドが火力発電所の整備で協力することでも合意した。 両国は協定で、飛び地だった111カ所をバングラデシュ、51カ所をインドの領土に組み入れた。インド側は、約5万人が居住する飛び地が、密輸や人身売買などの犯罪の温床になっているとの懸念を抱えていた。 中国はインド洋周辺国で港湾整備などを支援して影響力を強める「真珠の首飾り戦略」を進め、バングラデシュでも武器輸出や発電所建設で存在感を高めている。インドは今回、新たな直行バス路線も開設して、バングラデシュとの連結性を強化した。
バングラデシュ・ダッカ郊外でのイスラム教徒の集会を終え、列車に乗り込んだ出席者ら(2015年1月11日撮影)。(c)AFP〔AFPBB News〕 近年、アジアのインフラ市場が注目されている。2010~2020年のインフラ関連の資金需要は8兆ドル。この巨大市場にいかにアプローチするか、日本企業も大きな関心を寄せている。だが、リスクあるアジア事業を日本企業はものにすることができるのだろうか。 インドのモディ政権は目下国内のインフラ整備に乗り出している。その目玉となるのが、10兆円規模の「デリー・ムンバイ産業大動脈構想」だ。日本とインドの共同プロジェクトとして注目を集めている。 このプロジェクトについて、拓殖大学の小島眞教授はこんな内幕を明かす。「鉄道事業は土木工事がカギになるが、日本のゼネコンは最後まで手を挙げなかった」 デリー・ムンバイ産業大動脈構想は、貨物専用鉄道を敷設し、周辺に工業団地
中国は過去5年間で武器・装備品の輸出を143%増やし、ドイツを抜いて世界第3位の武器取引国になった。 このデータはスウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)がまとめたもので、中国の軍事面での影響力に対する諸外国の恐怖心を強め、隣国インドとの摩擦を激化させる公算が大きい。 過去5年間における最大の輸出先は、インドの南アジアのライバルに当たるパキスタンで、中国からの輸出品の41%を購入した。 買い手を選ばない中国、最大の輸出先はパキスタン SIPRIによれば、中国からの武器輸出の大半は近隣のアジア諸国向けで、世界の武器市場における中国の輸出のシェアは2005~09年の3%から2010~14年の5%に拡大したという。 中国人民解放軍の退役大佐、岳剛氏は次のように話している。「パキスタンは何十年も前から中国と武器取引をしている。その理由の1つは、インドの怒りを買うことを恐れた多くの西
12月3日、中国の潜水艦増強に近隣諸国が警戒感を強めるなか、インドは海軍の近代化プログラムを加速させている。写真はインド東部のビシャーカパトナムの軍港に停泊する、同国海軍のアリハント潜水艦(2014年 ロイター/R Narendra) [ニューデリー 3日 ロイター] - 中国の潜水艦増強に近隣諸国が警戒感を強めるなか、インドは海軍の近代化プログラムを加速させている。同時に、中国のインド洋進出を食い止めるべく、インドはスリランカなどの周辺国に圧力をかけている。 インドと中国の係争地カシミール地方で両国軍がにらみ合う事態に発展した直後の今年9月、中国の潜水艦がインドの南に位置するスリランカに初めて寄港した。中国はまた、インド洋に浮かぶ島国モルディブとの関係も強化している。 こうした動きは、インド洋での存在感拡大を狙う中国の強い意志を映し出しており、南シナ海の領有権問題が緊迫化するのと時を同じ
港、高速道路、橋梁、発電所――。インフラ開発をめぐる“日中激突”が火花を散らしている。インドを取り囲む南アジアの国々でも、中国の影響力が増大している。 スリランカは2009年に最大の“スポンサー”が日本から中国に取って代わった。一貫して親日国であり続けたパキスタンへも、中国は積極的な財政支援を行っている。 そして、インドの隣国バングラデシュでも、中国は「最大の援助国」と言われる日本の牙城にどんどん食い込もうとしている。 バングラデシュにおける中国の台頭は噂には聞いていたが、まさかここまでとは思わなかった。「中国が片っ端から案件を落札」しているのが現状だ。ざっと調べただけでも、中国は以下のような案件を受注(一部は予定)している(日本政府の資金によるプロジェクトを中国企業が受注するケースも含まれる)。 (1)パドマ橋(建設費11億ドル) (2)パドマ橋建設に付随する河川管理(10億ドル) (3
アデン湾での海賊対処活動に参加している中国海軍ミサイル駆逐艦「長春」とミサイルフリゲート「常州」が交代のために中国に帰国する途中、イランのバンダル・アッバース軍港に寄港し、イラン側の大歓迎を受けた。 中国海軍軍艦のイランへの寄港はこれが初めてである。中国側もイラン側も、中国とイランの友好関係ならびに中国海軍とイラン海軍の協力関係の進展を強調している。 中国海軍の2隻の軍艦はイラン海軍との捜索救難合同訓練を成功裏に実施した後、イラン海域を離れパキスタンへと向かった。9月27日、パキスタン海軍駆逐艦の先導により、「長春」と「常州」はカラチ軍港に入港した。 中国潜水艦のスリランカ寄港 これら2隻の水上戦闘艦とは別に、中国海軍039型潜水艦がスリランカのコロンボ港国際コンテナターミナルに接岸し、給油を受けていたことも確認された。同時に、コロンボ港には中国海軍潜水艦母艦も停泊した。 中国海軍当局によ
バングラデシュでも「ドラえもん」の人気は高い。ダッカで見かけた、ドラえもんのぬいぐるみを乗せて走るトヨタ車(筆者撮影、以下同) そもそもバングラデシュは「親日国」であり、「日本大好き」は今に始まったことではない。その大きな理由は、1971年の独立当時、日本が真っ先にバングラデシュを国家として承認したことにある。それから43年が過ぎた今でも「日本が承認してくれたことを感謝している」と言われる。 独立後も日本は積極的な支援を続けた。運輸インフラや農村開発に延べ1兆円に上るODA(政府開発援助)を行ってきた。日本の支援は学校の教科書でも伝えられており、そのことを知らない国民はほとんどいない。また100タカ札には、日本の援助で建設された「ジャムナ橋」が印刷されている。 この状況は中国とは対照的だ。日本は、中国に対して国交正常化以降、約3兆円の支援を行っている。だが、中国人のほとんどはその事実を知ら
■異例の親密さ、日本とバングラデシュの首脳外交 日本とバングラデシュの外交関係が活発化している。今年だけでも3月に岸田外相がバングラデシュを訪問。5月にシェイクハシナ首相が訪日。そして9月6日に安倍首相がバングラデシュを訪問した。この活発な外交はいったいどのような成果をあげたのだろうか。 安倍首相のバングラデシュ訪問における主要議題は以下の2点だ。 1)ベンガル湾産業地帯構想、チッタゴン港湾地域の超臨界石炭発電所、深海港、石炭貯炭場など総合開発について、6000億円の経済協力。そのほか、400億円の日本向け経済特区の開発。 2)2015年の国連安全保障理事会非常任理事国選挙の不出馬と日本支援の約束取り付け。1978年の選挙で日本はバングラデシュに負けたことがある。アジア太平洋地域の立候補表明国は日本とバングラデシュの2カ国だけ。バングラデシュが不出馬となれば日本の選出は間違いない。 もっと
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