パンダと中国外交~愛らしい“大使”の変容(上) 「世論工作」を源流とするパンダ外交は、中国の大国化を受けてどうなる? 吉岡桂子 朝日新聞編集委員 海を渡ったパンダの足跡を追って、アメリカ、ロシア、欧州から東南アジア、香港、韓国、台湾、そして日本を歩き、朝日新聞夕刊で連載した(「海を渡ったパンダをたどって」)。連載を書きながら感じたのは、パンダの丸い背中越しに中国を見つめる人々の多様なまなざしだ。日中戦争時のアメリカにおける「世論工作」を源流とするパンダ外交は、戦後、様々に変容してきた。中国が再び大国化するなか、これからどのような変貌をとげるのだろうか――。連載には書ききれなかった米欧日の識者の含蓄ある「言葉」を2回にわけて紹介したい。(編集委員・吉岡桂子) 中国外で最多のパンダを抱える米国 今や世界21カ国・地域に約70頭の特派されているパンダ。最も多く派遣されているところはどこか? 答え