西側のメディアや政治機関は中国やロシアを、西側と対立する陣営のようにとらえがちだ。政府は西側よりも独裁的で、開かれた機関や報道の自由に対して懐疑的であり、国際的な論争においてはしばしば、欧米の利害に対抗して手を組む存在だというわけだ。 こうした特徴づけは完全な間違いではないが、この両国が互いに争い疑念を抱いている点を見逃している。中ロの敵対関係は今日、再び脚光を浴びている。中央アジアで中国がロシア抜きの反テロ連合を提案したことで、両国関係が今後数十年間にわたって緊張する可能性が増しているからだ。 中央アジアは両国にとって、何世紀にもわたって戦略的な不安定の根源であり続けてきた。特に中国にとってはそうだった。中央アジアの各民族が定期的に反乱を起こしたからだ。 ロシアと中国は18世紀半ばまでに、安全保障の目的で中央アジアへの支配強化を図った。この努力は、ロシアがシベリアを統治下に置き、清朝が「
新疆ウイグル自治区のウルムチ南駅のプラットホームに止まっている、中国の高速鉄道、蘭新線第二複線の甘粛省蘭州行き列車(2014年12月26日)〔AFPBB News〕 いま中国の習近平政権が世界に対して発展戦略として提唱している「一帯一路」とは、どのような政策であり、その狙いは何であろうか。また、それに対して関係国、特に利害関係の深い周辺国はどのように対応しようとしているのであろうか。 1 発展戦略としての一帯一路政策の形成とその狙い 馮并著『"一帯一路": グローバルな発展のための中国の論理』(中国出版集団、2015年)によれば、初めて「一帯一路」の概念が提唱されたのは、2013年9月の習近平主席のカザフスタン訪問時である。 習近平主席は、欧州とアジアを東西に連接し、シルクロードを創ることを提唱した。その協力内容として挙げられたのは、物流、貿易と投資、金融、エネルギー、食糧安全保障などの分
(英エコノミスト誌 2015年5月9日号) ウクライナ危機はロシアを中国に接近させている。だが、両国の関係は対等とはほど遠い。 5月9日、ロシア・モスクワの「赤の広場」で、第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日に、70年記念軍事パレードに出席するウラジーミル・プーチン大統領と習近平国家主席〔AFPBB News〕 70年前のナチスドイツ降伏を記念する5月9日のモスクワでの戦勝式典は、今日の地政学について多くのことを物語る。ロシアのウクライナ侵略(および第2次世界大戦後初の欧州での主権領土の併合)に抗議して西側の指導者が欠席する中、中国の習近平国家主席は、友人であるウラジーミル・プーチン氏の主賓になった。 ウクライナを巡る西側の制裁や、確実視される欧米との関係の長期的な冷え込みによって、ロシアには、中国をできるだけしっかりと抱え込むこと以外に選択肢がなくなっている。 拡大する戦略的パートナーシッ
中国の習近平国家主席は、自身が率いる中国共産党を浄化することと自国を改革することに飽き足らず、アジアの経済的、政治的秩序も作り直したいと思っている。 中国の指導者たちが共有する、簡潔だが、どこか不可解な表現を生み出す天賦の才能によって、習氏の大陸構想は「一帯一路」という公式用語に要約されている。 習氏の説明によれば――直近では、先月、ダボスのスキー場を真似た中国の熱帯ビーチ版「ボアオ・フォーラム」で説明した――、この一帯一路構想は「地域的、世界的な協調を求める我々の時代の要求に応える」ものだ。 誰もが納得しているわけではない。これをただの空虚なスローガンと見る人もいれば、アジアの支配的大国として米国に取って代わろうとする見え透いた策略と見る人もいる。 どちらの批判も的外れのように思える。習氏はこの構想に真剣に取り組んでいる。そして、これは「策略」というより公のマニフェストだ。 「一帯一路」
「恐怖、利己心(利益)、名誉」で動く国際社会 国家の自己認識は、個人も同じであるが、他国との比較(相関関係)あるいは相対性の上でなされ、自己実現を図って行く傾向が強い。 古代アテネの歴史家ツキジデスは、その不朽の名著『戦史』の中で、国家を動かす「恐怖、利己心(利益)、名誉」の3つの属性を指摘した。 これらの属性が絡み合い、相互作用することによって、常に他国に対する優越を求めようとする力が働くため、絶え間ない摩擦・軋轢や衝突・紛争の世界を生み出してきた。特に、大国間にあっては、覇権獲得の激しい争いが繰り返されてきたのが人類の歴史である。 『大国政治の悲劇』(奥山真司訳、五月書房)の著者である米シカゴ大学教授ジョン・ミアシャイマーは、オフェンシブ・リアリズム論の提唱者として知られる。 その著書によると、国家を超越する権威を持たない無政府状態の国際社会では、国家は互に「恐怖」の認識を強く持ち、そ
19:20 Putin says troops build-up near Ukraine borders was part of "exercises" 19:00 Volodymyr Zelensky tells Boris Johnson Nord Stream 2 commissioning by Russia "unacceptable" 18:20 Zelensky asks U.S. for clarity on NATO MAP – media 16:20 U.S. financial institutions prohibited to buy Russian bonds 15:40 Education minister: Best lecturers at President's University in Ukraine to be paid at least US$
2014年3月のある日、ドイツ・ライン川のデュイスブルク河港でのことだ。銅鑼(どら)の音が3度響き渡る中、中国の習近平国家主席が1本の貨物列車の到着を出迎えた。そして習氏はドイツに対し、両国を結ぶ新しいシルクロードを一緒に整備しようと呼びかけた。 これは、習氏のお気に入りの戦略プロジェクトへの参加要請だった。習氏は2013年の国家主席就任以降、中国と欧州をつなぐ新シルクロードのアイデアに外遊先でたびたび言及している。 先月のスリランカ訪問では、15億ドルが投じられる港湾整備プロジェクトの起工式に出席し、「21世紀の海上シルクロード」なる構想を売り込んだ。 習氏がこれほど熱心なのは、中国の内陸部、とりわけ中国西部と欧州との結びつきを強化したいためでもある。額面通りに受け取るなら、これは中国が国際貿易の有力プレーヤーとして台頭してきたここ20年間で最大の貿易ルート再編成に発展し得るプロジェクト
(米「パシフィックフォーラム CSIS」ニュースレター、2014年45号) By Mendee Jargalsaikhan 「カーン・クエスト」(米・モンゴル共催多国間共同訓練)は、当初は沖縄のアメリカ海兵隊やアメリカ国防省からはっきりした反応をもらえず、質素に始まった小規模な2カ国間演習であった。だが、それ以来10年以上も続けられ、現在は米軍とモンゴル軍によるモンゴル外交の討議の場であり、複雑な近隣地域における独特な平和維持訓練行事となっている。 モンゴル人は、モンゴル軍の国際平和維持活動への貢献を促進し、また旧ソ連の訓練基地(ファイブヒル)を地域の平和維持訓練センターへ転用させることを進めるため、2カ国間演習の実施を熱心に要請した。その結果、アメリカ国務省はファイブヒル訓練基地で軍事援助を提供することを検討し、アメリカ海兵隊がモンゴル軍と小規模訓練を実施することを許可したのである。 こ
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