韓国にとって2017年は激動の年だった。この年の1月、韓国の大統領は朴槿恵であり、国会で弾劾された彼女は、その有効性を争う憲法裁判所の判断を待つ立場にいた。ソウルをはじめとする韓国の主要都市では、弾劾支持派と反対派の双方による大規模デモが展開され、街には殺伐とした雰囲気すら漂っていた。 3月には朴槿恵の罷免が確定し、5月に行われた大統領選挙にて進歩派の文在寅が当選した。文在寅を待っていたのは苛酷な状況だった。国内では与党は全議席の3分の1をわずかに超える議席しか有しておらず、新政権は全ての閣僚を任命するのに半年以上を費やした。国外では北朝鮮が核やミサイルの実験を繰り返し、ポピュリスティックな傾きを持つトランプ新アメリカ大統領が、過激な言動を繰り返した。中国や日本との関係も円滑には程遠く、問題は山積しているように見えた。