政府は28日の閣議で、令和5年版防衛白書を了承した。中国軍とロシア軍による日本周辺の共同活動について「重大な懸念」を表明し、強い警戒感を示した。かつてない頻度で弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮に関し、「より実戦的な状況を連想させる形で挑発行為をエスカレートさせている」と分析した。昨年12月に国家安全保障戦略などの安保3文書を決定して初の白書で、3文書の策定経緯や内容も詳述した。 中国については、透明性を欠いたまま国防費を増加させ、軍事力を急速に強化しているとして、「最大の戦略的挑戦」と明記。21世紀半ばまでに実現するとしていた「世界一流の軍隊建設」という目標の「前倒しを検討している可能性がある」と分析した。 さらに台湾との軍事バランスが「中国側に有利な方向に急速に傾斜する形で変化している」と警戒した。昨年8月に台湾周辺で実施した大規模軍事演習が、侵攻作戦の一部を想定していた可能性を指摘した