リチャード・アーミテージ氏といえば、近年の日米関係では最も広く最も長く知られてきた人物の一人だろう。その彼に安倍晋三首相の靖国参拝への見解を直接に問う機会を得た。ワシントンで3月下旬に開かれた日米安全保障についてのセミナーで、だった。 オバマ大統領の訪日をも論じるこの集いでは、同氏は冒頭で「いまの世界では安倍首相ほど短期間に多くの政策目標を達成した指導者はまずいない」と述べ、安倍政権の防衛費増額や国家安全保障会議の設置、特定秘密保護法の成立などを米側も望んできた日米同盟強化策の「成功」として称賛した。だが同氏は日本側にオバマ政権の対日防衛誓約への不信が広がったと指摘し、歴史問題での摩擦にも言及した。 その歴史問題の一角の靖国については同氏が国務副長官などを務めたブッシュ前政権は小泉純一郎首相が毎年、参拝しても何も述べなかった。それどころかアーミテージ氏自身が中国からの参拝反対は日本を政治的