11月7日、シンガポールで首脳会談を行うに当たって握手を交わす中国の習近平国家主席(右)と台湾の馬英九総統〔AFPBB News〕 習近平氏と馬英九氏との会談が歴史的なものだったことは間違いない。 ただ、習近平氏から「家族」という言葉を聞いた時、筆者はハリウッド映画に出てくるマフィアのドンがやるようなこの言葉の使い方を思い出した。つまり、魅力と威嚇を混ぜ合わせた使い方である。 実際、中国政府はまだ、台湾は反乱を起こしている省だと見なしており、もし独立を宣言するようなことがあれば、家族の一員を攻撃する権利があるとしている。 習近平主席の不安 両義性はこれだけで終わらない。数十年に及ぶ排斥に終止符を打った習近平氏の決断は、見方によっては、自信に満ちた指導者ならではの行動だった。だが、この大胆な行動は恐らく、自信と同じくらい不安を反映したものでもある。なぜなら、近隣諸国を見渡せば、そこには数多く