江川 犯行動機については、〈オウム真理教団の犯行に見せかけて警察庁長官を暗殺して警察首脳を精神的に追い詰め、死に物狂いでオウム真理教団に対する捜査指揮に当たらせ、併せて全国警察の奮起を促し、オウム真理教団を制圧させることにありました。よって、この暗殺計画は、私利私欲を離れた使命感に基づく行為であり〉と供述しています。ここはどうも信じられない。 狙撃された國松孝次 ©文藝春秋 原 それは後付けの動機で、8割方は権力や警察への個人的な恨みだと見ています。自分が警察官を殺して、刑務所に20年近く入れられたことが許せない。身勝手なんです。「いまやれば、絶対オウムだと思ってくれる。長官の住所は知ってるし、銃もあるし、チャンスだ」と考えたんじゃないかと私は見ています。 本当は、時効成立後に名乗り出て、オウムを壊滅に追い込んだのは自分の功績だと誇るつもりでいたんでしょう。ところがその前に別件で逮捕されて