今年の9月、茨城県常総市を流れる鬼怒川の堤防が決壊し、勢いよく流れ出た濁流が住宅地を押し流し、取り残された人たちが住宅の屋根やベランダで救助を求めていた衝撃的な映像は、大きな河川の堤防が決壊した時の洪水の怖さを強く印象づけました。この災害を受けて、11月17日からは内閣府が、また国土交通省は先月末から、それぞれ専門家の委員会を設置し対策を検討していますが、議論は住民の避難をどう進めるかが中心になっています。確かに住民の避難は重要な課題ですが、最近の雨の降り方や洪水の被害からは、治水思想を転換し、洪水対策の考え方を変える時期にきていることがみえてきます。今晩は、この問題を考えます。 現在の河川の洪水対策は、河の中で水を安全に流すという考え方に基づいて進められています。具体的には降った雨を川に集めて、川の中から出さないようにして、なるべく早く海に流すという考え方です。そのために高度経済成長の時