鉄道会社は新型コロナウイルス禍を経験し、旅客以外の輸送ビジネスを探り始めた。新たに浮上してきたのが荷物輸送だ。11月12日午前11時過ぎ。鳥取県西部にあるJR米子駅の改札口に、台車に載せられた5箱の「乗客」がやってきた。駅員が切符にスタンプを押して改札を通過し、ホームへ。その切符にはこう書かれていた。「お客様はカニ様です」コロナ禍による利用客数の減少に苦しむJR西日本はこの日、列車による荷物
前々回、鉄道コンテナに書かれた変わった表示「R」「り」「いた」の話をしました。ほかにも興味深い記号や表示があります。今回はその中から「W」と書かれたコンテナについて取り上げたいと思います。 静脈物流という言葉をご存じでしょうか。人間の動脈が主に酸素を運び、静脈は不要となった二酸化炭素を運んでいることに例えて使用されている言葉で、生産物輸送は動脈物流、対する静脈物流は廃棄物などの輸送を指しています。 静脈物流で使用されているコンテナは、臭いの付着などがあるため、通常コンテナと区別されています。私有コンテナであれば所有者管理の元で運用できますが、JR貨物所有の静脈物流専用のコンテナは、一般コンテナと混同しないよう、形式に英語で廃棄物を表すwasteの頭文字「W」という表示がつき、さらに黄色地に黒字で丸く囲んだ「環」と書かれたステッカーが貼られ、容易に区別が可能です。 JR貨物は静脈物流に力を入
真貝 直接これがということはあまりないですね(笑)。JR貨物に来て12年になりますが、いまだに社員のみんなに育ててもらっている、という感じです。 私のいた日本興業銀行は、長く日本の基幹産業の大企業をお取引先としてきた銀行で、私は化学や非鉄金属などの業種、あるいは公共法人などの営業を担当してきました。企業審査として、まず一番見極めなければいけないことは、経営者だということは若い頃から叩き込まれました。また、1988年にできた虎ノ門支店のオープニングスタッフとなるのですが、ここは興銀として初めて、ビルの1階ではなく、5階に開設した貸付専門の「空中店舗」でした。ここで中堅中小企業の経営者と数多く付き合うことができ、学ぶことも多くありました。 特に、「“リスクゼロ”の経営では企業は伸びない」ということは、その頃に身についたと思います。リスクを取りながら利益を追求していくのが経営の在り方だ、という考
輸送量は毎年約103%の伸び 「100年以上の歴史を持つ隅田川駅に対して、ここが開業したのは1973年。歴史が浅いんです。ただ、こちらは最初から“コンテナ専用ターミナル”として設計して作られたので、使い勝手はいいですね」 と語るのは、駅長(当時)の安田晴彦氏。 東京貨物ターミナル駅の安田晴彦駅長(当時) 「無数」などという適当な表現では申し訳ないので正確に記すと、コンテナホーム5面、コンテナの積み下ろしを行う「荷役線」が10線、本線に出発する、あるいは本線から到着する「着発線」が10線あり、他に12本の「留置線」と10本の「検修線」がある。 これらの線路は縦に並んでおり、26両編成の貨物列車がタテに2本、余裕をもって“縦列駐車”できるほど長いのだ。 隅田川駅を見学した時は、周囲に林立する高層マンションに挟まれるように展開する貨物駅――という“異空間”に息をのんだものだが、「東京タ」は、純粋
「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。 これまでに、一般ドライバーからは一見すると「マナー違反だ」と思われてしまうトラックドライバーの行為の理由を紹介してきたが、今回は「高速道路の深夜割引がもたらすトラックの迷惑駐車と長時間労働」について紹介したい。 高速道路の深夜割引は、自動料金収受システム(ETC)を利用したクルマが、午前0時から午前4時までの時間帯に高速道路を走行した場合、高速料金が3割引になるサービスだ。無論トラックだけではなく、他車両も利用できる。 例えば、東京から大阪(吹田)まででかかる大型自動車の高速通常料金は、約17,500円。これが深夜割引を利用すると約12,200円となり、5,000円以上高速代が浮く。 「配送料無料」の時流や、競合他社との価格競争に対応するべく、安い運賃が定着化する昨今の運送業界
「トラックドライバーが一般ドライバーに知っておいてほしい“トラックの裏事情”」をテーマに紹介している本シリーズ。 前回は「過失がなくても逮捕されるトラックドライバーの現実」を紹介したが、彼らトラックドライバーが直面するこのような不条理は、道路上だけでなく、業界そのものにも大変多い。 今回は、その中でも彼らの大きな負担となっている「過酷なバラ積み降ろし作業の実態」を紹介したい。 彼らトラックドライバーの労働環境が「過酷」だと言われるのには、「長時間労働」と「低賃金」、そして今回紹介する「荷役」という3つの大きな要因がある。 荷役とは、荷物の積み降ろし作業のことだ。 これまでに何度か言及しているように、トラックドライバーの仕事は、「トラックの運転」だけではなく、「荷物を安全・確実・定時に運び届ける」ことなのだ。 だが、こうした広義なトラックドライバーの存在意義を、都合よく「荷物を積んで降ろすま
皆様は、貨物時刻表をご存知でしょうか? 鉄道貨物協会が年一回発行している貨物列車専用の時刻表で、掲載されている駅も貨物を取り扱う駅のみ。一風変わった時刻表としてメディアなどでも度々取り上げられています。 多治見通運に入社するまで、運行ダイヤについて調べるときにはこの貨物時刻表を駆使するものだと思っていました。しかし、実際に通運業務を行う上で使用することは少なく、代わりに擦り切れるほど読み込んだのが「コンテナ時刻表」です。 コンテナ時刻表は市販されておらず、ダイヤ改正時期にJR貨物から関係各所に配布されます。また、JR貨物ウェブサイト内の「サービスご案内」から「エリア別サービス案内」に進み、任意の支社を選択すると「コンテナ時刻表PDF」と出てくるので、こちらをクリックすると冊子版と同じものを誰でも見ることができます。ぜひ今回はこの「コンテナ時刻表」を見ながら、コラムをお楽しみください。 東海
全国に張り巡らされたネットワークでお荷物を安全・確実に運ぶJR貨物では、エリアごとにきめ細かいサービスを提供しています。 詳細は各支社の案内をご覧ください。 (※ご覧になりたいエリア又は支社をクリックしてください。)
私は職業柄、全国各地、時には海外へ赴き、鉄道を追いかけています。 全国各地を旅していると 「あれ?この建物何だか知っているような気がする」 ということが度々起こります。テレビで見たのか雑誌やネットで知ったのか…いえいえ 「そうだ!ここにコンテナで荷物を運んでもらったんだ!」 ということが、よくあるのです。 建物の名前に見覚えがあるのはもちろんなのですが、周りの風景も知っているような気がします。なぜならば、鉄道コンテナ輸送において諸々の責任を負うのは基本的に発元の通運会社(着通運からの依頼により発通運が手配を行う場合、着元の通運会社が諸責任を負うこともあります)であり、卸地はコンテナ車が入れる場所なのか、2個積みのトラックでも搬入可能なのか等を調べるのは発通運の役目となるため、事前にしっかりと確認を行うからです。鉄道コンテナで運ぶことができるのを確認した上で、着通運に電話をし 着通運さん「そ
明るい世界のために、 ドールが守る約束私たちは、フルーツとフルーツ加工食品をお届けし、人と地球と豊かさに良い影響を与えることを使命としてきました。
前回(『天高く馬肥ゆる秋!』)、イモタマのシーズンが来るとテンションが上がる…というお話しをいたしました。これは、忙しくなると自然と私のテンションが上がってくるから。通運業務ではシーズン特有の荷物等もあり、繁忙期と閑散期ともいえる時期があります。もちろん、全国各地で出荷される荷物はバラバラですから一概には言えませんが、今回は私が経験してきた1年の流れをお伝えしたいと思います。 年明けはちょっとだけ穏やか。鉄道コンテナ輸送では、全国各地の通運さんとの連携が欠かせません。まずは年始のご挨拶がてら、年末の忙しさを振り返ったり、無理を聞いてくださったことに御礼を申し上げたり。荷動きは比較的緩やかですが、コンテナの予約は3月に向けて続々と埋まってきます。 そんな3月。急に荷動きが活発化します。世間は引っ越しシーズン。全国各地への引っ越しに鉄道コンテナを利用される方は多く、引っ越し会社さんのトラックも
「鉄道貨物輸送って、鉄道が通ってるとこしか運べないんでしょ?」 これは、多くの方から受ける質問です。実際には、鉄道貨物輸送は鉄道とトラック輸送を組み合わせた複合一貫輸送であり、大型トラックが行ける所ならば…極端な話、トラックが入れなければそれより小さな車に乗せ換えて運ぶことも可能なため、基本的にはどこへでも運ぶことができます。 しかし、現実的に見れば積み替えは手間がかかりますし、貨物駅から遠くなれば遠くなるほどトラック輸送の距離が長くなるため、長距離トラックの方がコストダウンとなることも。 貨物駅が多ければトラック輸送の距離は短くて済みますが、取扱い貨物量が少なくなった駅の中には、鉄道輸送を行わずコンテナのみの取扱いを行うオフレールステーション(以下ORS)や営業所となったところもあります。近年では北陸線の敦賀~敦賀港間が2016年に休止しORS化、輸送量の拡大に取り組んだものの振るわず、
前回、ご当地荷物についてお伝えしました。通運業界に入ってから「なるほど!」と合点がいったご当地荷物は、ぱちんこ関連。日本初のぱちんこ店は名古屋で開業したということもあり、愛知県には関連メーカーが多いのです。 さて、ぱちんこ店って、全国どこにでも、時には「こんなところに?!」とびっくりするような場所にもお店を構えられていたりしますよね。今回は、そんなぱちんこ関連輸送のお話しです。 「ああ、小倉さん?ちょっと遠いところに運びたいんだけど…」 電話をとって開口一番、お取引先ご担当様から発せられた言葉で、私はピンときました。 「もしかして、離島のぱちんこ屋さんへのお荷物ですか?」 「よく分かったね!△△島なんだけど、再来週配達くらいだったら集荷日がいつくらいになるか教えて!あと、深夜いけるかどうかも!」 [ 第12回でお話ししましたが、鉄道コンテナ輸送は鉄道とトラック輸送を組み合わせた複合一貫輸送
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