加藤陽子著『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』が、やたらと売れているらしい。 普通のよき日本人が、世界最高の頭脳たちが、「もう戦争しかない」と思ったのはなぜか? 高校生に語る――日本近現代史の最前線。 ・・・という煽りを読むだけで、十分げんなりしてくるが、Amazonの書評でも、著者の歴史観が左でも右でもなく「公平」で「客観的」で、「巨視的な視点から戦争が捉えられ」ていて、「切り口」が「極めて斬新」で、「ハイレベルな内容を平易に語ってい」る、というように賞賛されている。ちなみに、数少ない批判的なコメントのほとんどは、右からの「反日」呼ばわりだった。小沢一郎が今ではほぼ右からしか叩かれなくなっているのも当然だと思える右傾化ぶりである。 だいたい本書はタイトルからしておかしいと思う。日本人が選んだのは「戦争」というより侵略なのだから、本来なら、「普通のよき日本人が、世界最高の頭脳たちが、「も