砂埃が舞う大地に立ち、重機による工事をじっと見つめる男。この人物は、立石勲氏(85)。防衛省によって160億円で買収されることが発表された、馬毛(まげ)島の「地主」である。 鹿児島県に属する馬毛島は、種子島の沖合12㎞に浮かぶ、面積約8平方キロメートルの国内で2番目に大きい無人島だ。 「馬毛島は米軍空母艦載機の離着陸訓練施設になる予定です。現在、同訓練は硫黄島(東京都)で行われていますが、米軍基地から距離が遠く、米政府はかねてから移転を要請してきた。馬毛島の名前が浮上したのは、’11年6月の日米安全保障協議委員会でしたが、そこから紆余曲折を経て、今回、ようやく買収にこぎつけた形です」(全国紙防衛省担当記者) そもそも馬毛島の開発に着手したのは、不正融資事件で知られる平和相互銀行だった。同行はリゾート開発を謳(うた)って’70年代に島の土地を買い占めたが、計画は頓挫。平相銀は住友銀行に吸収合