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ブックマーク / blog.talktank.net (13)

  • 同性婚とインセストから現代の結婚に求められるものを考える

    同性婚の法制化を求める声が大きくなっている。それに対して反発が広がり、「そもそも結婚は生殖(あるいは出産)のためにあるのであり、出産しないカップルに結婚による法的利益を提供する必要はない」とか「同性婚を許容するなら兄弟姉妹の結婚も許されるべきではないか」といった議論も飛び出した。後者に関しては特に、牽強付会と言っても構わないと思われるが、なぜそのような錯誤が生じるのかも含めて、もう一度「婚姻」と「再生産(子どもをつくること)」の関係を考え直してもいいかもしれない。稿で述べる論点をまとめるなら、以下のようになる。この三つに違和感を感じない方は、最終節だけ読んでいただいても構わないと思う。そうでない方は、少し長くなるが全文にお付き合いいただければ幸いである。 (1)婚姻は生殖のためにあるのではないし、人類のインセスト・タブーは生物学的(優生学的)根拠に基づくものではない (2)日文化のイン

    同性婚とインセストから現代の結婚に求められるものを考える
    kabutomutsu
    kabutomutsu 2023/02/15
    “婚姻とセックスは...必ずしも「子どもをつくる」ためではない。多くの現代人にとって、それはまず生まれた(コミュニティの最小単位としての)各家族を離れ、新しい「最小単位」を作るための手段”
  • 議会で対案を出すのは野党の仕事ではない

    議会において対案を出すのは野党の仕事ではないし、真に重要な問題の場合、野党は対案を出せません。なぜなら、民主制というのは意見が違う、ということを前提としているからです。「意見が違う」というのは、良しとする社会の方向性が違う、ということです。そして、どの政党の「良しとする社会」を目指すか、というのは基的に選挙のマニフェストを有権者が比較することで争われることです。議会というのは、当然選挙が終わった後に開かれるものですから、そこではすでに「対案の検討」は終わっている、ということになります。 もちろん「良しとする社会は共通合意があって、解決策だけがわからない」という場合は対案が必要ということになりますが、第一に、実はそういうケースはそんなに多くはありません。また第二に、そういう問題は普通は「専門家」に任せることが得策です。技術的な問題に関しては素人の集まりである与党が議論して解決策が出てこない

    議会で対案を出すのは野党の仕事ではない
  • 「小学生のための放射線副読本」について

    子どもたちが学校から「小学生のための放射線副読」を、3月12日に貰ってきた(もしかしたら11日に配られていたのかもしれない)。この資料は色々問題があると思うわけで、これを使って授業をするというわけでもないわけであるが、何か納得いかないものを感じる保護者も多いのではないかと思う(もちろん、大半の人は問題だとは感じないと思うが…)。そこで、一応学校に手紙を書いておいた。 急ぎ書いた手紙なので、書誌データなどが整理されていないので、その辺りを修正してからこのブログでも公開しようと思っていたのだが、そのままズルズルと日が経ってしまっていた。あまり大きくタイミングを逃しても意味がないと思うので、ここに公開しておく。 子どもたちが学校から「小学生のための放射線副読」を配られたということで、もらってきましたが、一読して非常に問題の多い資料のように感じました。これは、端的に言って「日国政府が福島原子

    「小学生のための放射線副読本」について
    kabutomutsu
    kabutomutsu 2019/04/27
    "被ばくの問題に関しても、「存在が社会的リスクでないか」という事実命題を、「差別をしてはいけない」という価値命題の根拠にするのは、事実命題は容易にひっくり返るという意味でも大変に危険です"
  • ドイツ戦後補償問題 ギリシャ SYRIZA 政権の主張について

    たぶん、安倍晋三首相の「ポツダム宣言しらんがな」答弁が話題になっている日にとっても重要な話なので、あらためて議論しておきたい。 ギリシャの SYRIZA 政権がドイツに対して、第二次世界大戦の賠償を求める、というニュースが報じられている(例えば「ギリシャ、駅で第2次大戦のビデオ上映 独に賠償求め圧力」)。 こういった記事への反応を見ると、先にドイツのアンゲラ・メルケル首相が日を訪れた際、安部政権の戦後責任への態度について苦言を呈したと報じられたことから、「ドイツも戦後責任の取り方を近隣国から認められていないではないか」「一度謝ればいつまでも賠償を払わなければいけないのでは」といった意見が見られるが、これは誤解である。 もともと、SYRIZA 政権は、人道的観点から、戦後ドイツに認められたような主権者債務(Sovereign Debt )の見直しのための国際会議開催を求めている。そして、

    kabutomutsu
    kabutomutsu 2019/04/20
    "ギリシャ経済が復興するために必要な措置を、国際社会が「人道的観点から」支援すべき"さもなくば"ギリシャ国民がドイツ国民に対して「人道的立場」にたって賠償を免除したということの妥当性も失われる"
  • 野党とは何か。あるいは、民主国家はどのような「政党」を持つべきか。

    財団が発表している「18歳意識調査」第12回 テーマ:国会改革について、という報告書は、我が国の若者の「政治」に対する理解についての、なかなか深刻な問題を表しているように思う。ちゃんと精査したわけではないが、一読しての感想として 1)とにかく、意見の違いが顕在化するのが落ち着かない。2)「成果の客観的評価」が可能だと思っている。3)討議は少人数で短く行うべき。といった感覚を抱いている回答者が多い印象を受ける。 全体に自己啓発系ビジネス書っぽいという印象を抱く。ただ、そういう意味では昨今メディアやポピュリスト政党が強調する「カイカク」(してるふり)と同根であり、若者が、というより日社会に蔓延する空気の問題なのだと思う。 実際、大学の授業でも政策決定プロセスについての話になると「野党が情けないから」「批判ばかりだから」社会問題が解決できないというコメントも出てくる。 そんなわけで、我々は

    野党とは何か。あるいは、民主国家はどのような「政党」を持つべきか。
    kabutomutsu
    kabutomutsu 2019/04/06
    "与党は、永遠に与党だと思っていれば政府に都合のいい法律ばかりつくるであろうが(…)野党が与党の地位についたときに、その権限を行使できるのではないかと疑っている場合"全然疑ってないよねジミント
  • コカイン中毒は本当に社会問題の本質なのか?: 視点の多様性のために、カール・ハート博士の議論から考える

    コカイン中毒は当に社会問題の質なのか?: 視点の多様性のために、カール・ハート博士の議論から考える 電気グルーヴのピーエル瀧氏がコカインを使用していたという嫌疑で逮捕された。報道によれば、瀧氏は何十年もコカインを利用し続けていたと供述しているという。一方、瀧氏の仕事ぶりや社会生活は総じて評判の良いものであり、一般的にイメージされる「薬物中毒」患者の姿とは大きく異なっているだろう。しかし、実際はマリファナはもちろん、ハードドラッグを利用していても万人が深刻な「中毒状況」に陥るわけではない(一方で、合法である酒でも、社会生活に支障のある中毒症状を呈することはあるわけである)。この問題に関しては、五年以上前の Democracy Now で、コロンビア大学のカール・ハートのインタビューが放送され、興味深い内容だったので、古い番組ではあるが、ここに紹介してみたい。 “Drugs Aren’t

    コカイン中毒は本当に社会問題の本質なのか?: 視点の多様性のために、カール・ハート博士の議論から考える
  • 「がんばる人を評価する政府」は極右ないし全体主義政府です

    大切なのは「がんばる人が安心できる」社会だと思う。右派の「がんばっても安心できない」社会や、左派の「がんばらなくても安心できる」社会はいずれも社会の活力を奪う。当たり前のように聞こえるかもしれないが、この「がんばる人が安心できる」仕組みこそ、今の日に必要な政策だと考える。 — 玉木雄一郎 (@tamakiyuichiro) 2015, 12月 16 「がんばる」って言葉、私が考えているより狭く考えておられる方が多いなと思いました。病気で闘病されている方、少ない年金の中で一所懸命生計を立てておられる高齢者は、「がんばっている」人には入らないと考えてる人が多いのかなぁと。私は、がんばる人が安心できる社会を目指したいと思います。 — 玉木雄一郎 (@tamakiyuichiro) 2015, 12月 16 さて、この議論は大きな問題を孕んでいると考えますが、それについて説明します。 1)リベラ

    「がんばる人を評価する政府」は極右ないし全体主義政府です
    kabutomutsu
    kabutomutsu 2018/03/31
    "極右とは人権(自由権と社会権)を尊重しないということであり、「政府ががんばった人を評価できる」という考え方はそういった前提"
  • その反緊縮とあの反緊縮は一緒ですか!?|天使もトラバるを恐れるところ

    最近「日の左派は反緊縮を唱えないからダメだ」という議論をよく聞く(例えば「なぜ日の左派で反緊縮が主流になっていないのか? - Togetterまとめ」)。曰く、「欧米では反緊縮は左派の政策」であるらしい。これは果たして事実であろうか? 率直にいうと、わが国で「反緊縮」を唱える人々のいう「反緊縮」(以下、反緊縮(日)とでも呼称しよう)と、「欧米では」と言われる時の欧米左派のいう「反緊縮」(同様に反緊縮(欧)と呼称しよう)は、もちろんかぶる部分はあるが、質的には別物である。 もちろん、何にどうラベルを貼るかと行ったこと自体が問題な訳ではない。 どう言った思想にどうラベリングするかは各人の自由である。 しかし、内実が異なるのに、ラベルが一緒だというだけで中身が一緒であるかのように議論することは好ましくない。 具体例ということで、反緊縮民衆会議についてみてみたい。 これは、2013年に結成さ

    その反緊縮とあの反緊縮は一緒ですか!?|天使もトラバるを恐れるところ
  • 被ばくのリスクについての覚え書き

    Twitterでの議論から多少時間がたってしまいましたが、総選挙も終わり(あと、個人的には飯舘村の選挙なども終わり、というところも重要なのですが)、いったん自分の考えを述べてもいいころあいかとも思いますので、まとめておきます。 (1) まず第一に、リスクの受容には「意味」がある、ということです。リスクは必ず利益(benefit)と対で考えられる、ということでもあります。例えば、あるサラリーマンは「仕事のためにLCCにのるリスクは受け入れがたいが、趣味のダイビングに行くためならLCCも我慢する」というかもしれませんし、逆にその人を雇用している社長は「仕事なんてコスト削減してなんぼなんだから出張はLCCで行くべきだが、自分が楽しむための旅行はリッチに…」と考えるかもしれません。労使の間でコンフリクトが発生するでしょうが、どちらを正しいとも言い難いわけです。 同様に、自然物が上昇させるリスクと、

    被ばくのリスクについての覚え書き
  • 資本主義の本質は「リスクをどう裁定するか」の問題であり、奨学金はその手段である (奨学金問題雑感 その2)|天使もトラバるを恐れるところ

    主義の質は「リスクをどう裁定するか」の問題であり、奨学金はその手段である (奨学金問題雑感 その2) NHKが「“奨学金破産”追い詰められる若者と家族」という報道特集をウェブに掲載している(対応する番組があったのかもしれないが、見ていない)。 しかし、タイトルに反して、質的には「自己破産」が問題ではなく、自己破産できないかもしれないことが問題になるべきであろう(記事は、実際は後半でその問題に触れている)。 「借りたものは返すのが当然」は儒教的な道徳としてはありかもしれないが、「資主義の倫理」としては合理的ではない。 これは、奨学金以外でも、あらゆる経済活動について言えることである。 つまり、経済活動には一定のリスクが伴うのであり、普通以下の資産をもつものが利益を確保するために一定の時間を必要とする活動に乗り出すためには、このリスクをどう裁定するかという観点が欠かせない。 高等教育

    資本主義の本質は「リスクをどう裁定するか」の問題であり、奨学金はその手段である (奨学金問題雑感 その2)|天使もトラバるを恐れるところ
  • 「菅直人を逮捕せよ!」|天使もトラバるを恐れるところ

    東日大震災当時、どのような状況だったか、当時内閣総理大臣補佐官として菅直人首相らとともに対策にあたった寺田学衆議院議員が、手記を公開している。 5年前の記憶の全て : 寺田学のオフィシャルウェブサイト これまで断片的に出ていた情報と大きな齟齬もないし、びっくりするような新事実もないと思うが、当事者から見た「現実」が時系列で繋がって、ここまでの情報量で提示されたのはありがたい。『シン・ゴジラ』がきっかけのようであるが、それだけでも「作品の力」というのを実感できるのではないか。 個別にはいろいろ考えさせられる所はあるが、気になったのは2点。まず、原子力安全委員会の班目春樹委員長の回答のまずさ(肩書は当時。以下同じ)。 いろいろな意見はあろうと思うが、「原発が爆発する可能性はないのか」という総理の質問には「ありません」と答えており、(こちらは今回の回顧録には記述がないが、報道等によれば)海水を

    「菅直人を逮捕せよ!」|天使もトラバるを恐れるところ
  • バーニー・サンダース上院議員、2016年大統領選、民主党候補者予備選のダーク ホースか?

    4月に2016年の大統領選の民主党候補者指名を獲得するための予備選に出馬すると表明したサンダース上院議員の支持率がバイデン副大統領をわずかに抜いて11.7パーセントの二位に上昇している。 この結果に俄然注目も集まっており、絶版になっている回顧録がアマゾンで高値で取引されたり、関連書籍が相次いで出版されたり、ちょっとしたブームの兆しを見せはじめている。 トップを独走するヒラリー・クリントン元国務長官との差は大きいが、仮に二位に終わっても、サンダース上院議員の健闘はアメリカ政界に極めて大きなインパクトをもたらし得る。 バーニー・サンダース上院議員は、ヴァーモント州選出の、アメリカでは珍しい無所属の上院議員である。 現在73歳。ポーランド系ユダヤ人移民の子どもとして、ニューヨークに生まれ、左派的な実験コミュニティとしての色彩が強かったイスラエルのキブツで過ごしたこともある。 そして、もっとも重要

    バーニー・サンダース上院議員、2016年大統領選、民主党候補者予備選のダーク ホースか?
  • 科学と差別について

    科学と差別の関係は複雑である。 差別の定義も多様であるが、ここでは「人の行為ではなく属性によって取り扱いに差をつける」ということにしておく。 また「人の努力によってどうすることも出来ない事柄で不利益な扱いをすること」という言い方をすることがあるが、これはたぶん「属性」だと意味がよくわからないことを配慮して言い換えたものではないか、と推量される。ここでいう「属性」とは、たとえば国籍や民族、宗教、人種、家柄、肌の色、心身の障がい、性的指向、といったことである。 単に「差をつける」のか「不利益な扱い」に限定するのかは論点の一つである。 一般には、たとえば「黒人/アフリカ系であればトラック競技が得意であろう」といった前提で物事を決めるのも、表面的には「不利益」ではなく優遇措置に見えるが、それによってトラック競技をしたい「黒人ではない」人々に不利だということだけではなく、トラック競技が得意であろ

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