安倍晋三元首相が遊説中殺害されたことは、それ自体世の中に大きな衝撃を与えたが、事件の背後に某教団信者だった家族の崩壊ということが関わっている可能性(しかもその某教団と安倍氏は浅からぬ関係があった)が示唆されてから、「政治と宗教」「国家と宗教」、もっといえば「いわゆるカルトにどう対処していくか」というようなさまざまな問題を惹起させた。 しかし、それとは別の「宗教的問題」も起きてしまった。それが元首相の「国葬」問題である。本稿執筆中の現在、市民団体、研究者、複数の自治体議会や、教団、超宗派の宗教者たちなど、多方面から国葬に対して反対表明されているところである(超宗派の宗教者の反対声明についての記事は、本紙8月24日号、9月14日号に掲載されている)。 近代日本における国葬については、宮間純一氏(中央大学教授)が『国葬の成立-明治国家と「功臣」の死』(勉誠出版、2015)という書物でその来歴を紹