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ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (7)

  • 賃金と「社会の認識」は関係あるのか?(読書メモ:『資本主義が嫌いな人のための経済学』②) - 道徳的動物日記

    主義が嫌いな人のための経済学 作者:ジョセフ・ヒース NTT出版社 Amazon 『資主義が嫌いな人のための経済学』の第10章のテーマは「同一賃金」であり、「貧困に対策するためには最低賃金を上げなければいけない」や「男女の賃金格差を是正するためには、女性が多い仕事の賃金を上げなければいけない」といった、左派が提唱しがちな主張が批判されている。 また、このから10年以上後に出版されたデビッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ』やマイケル・サンデルの『実力も運のうち』、それらの著者が論じているような「エッセンシャル・ワーカーの賃金を上げよ」論に対する批判としても成立する議論とみなせるだろう。 まず、ヒースは、右派の人々は市場は「自然的正義」という見方をとっていたことを指摘する。「競争市場でならば、稼ぎ手が組織にもたらす価値とまったく同等な賃金を各労働者に振り当てられると期待できた」(p

    賃金と「社会の認識」は関係あるのか?(読書メモ:『資本主義が嫌いな人のための経済学』②) - 道徳的動物日記
  • 公正価格の誤謬、「ホモ・エコノミクス」批判批判(読書メモ:『資本主義が嫌いな人のための経済学』③) - 道徳的動物日記

    主義が嫌いな人のための経済学 作者:ジョセフ・ヒース NTT出版社 Amazon ● 第7章「公正価格の誤謬」から。 あえて私の考えを言えば、左派または人類の味方とすら辞任する御仁にとって、豊かな工業化社会で住をあがえない人がいるのはいるのは許しがたいことだ。それだけなら問題ない。だが、ここで二つの大きく異なる見方がある。中をあがえない人がいるなら、問題はこれらが高すぎるか、お金が足りない人がいるかのどちらかだ。同様に、問題の解決法は二つある。一つ目は価格を変えること、二つ目は国民の収入を補うことだ。だが、なぜか二番目の選択肢は見過ごされる傾向がある。そのため「公正価格の誤謬」とでも呼ぶべき論考パターンができあがる。再分配の様式に生じる不公正の直接の原因は価格だからと、給付金の効果を無視するものである。 (p.175) この章でヒースが指摘するのが、左派による「公正価格の誤謬」は電

    公正価格の誤謬、「ホモ・エコノミクス」批判批判(読書メモ:『資本主義が嫌いな人のための経済学』③) - 道徳的動物日記
  • 経済的不平等のなにが悪いのか?(読書メモ:『21世紀の啓蒙:理性、科学、ヒューマニズム』) - 道徳的動物日記

    21世紀の啓蒙 上:理性、科学、ヒューマニズム、進歩 作者:スティーブン・ピンカー 草思社 Amazon 原著が出たあとに寄せられた反論に対してピンカーが行なった再反論を紹介したり*1、現代ビジネスの記事でピンカーについて書いたりしたけれど*2、『21世紀の啓蒙』を通して読むのは今回がはじめて。……とはいえ、前著『暴力の人類史』に比べると、読み物としての面白さは数段劣ると言わざるをえない内容だ。 『21世紀の啓蒙』にせよ『暴力の人類史』にせよ、核となる主張は「人類は進歩してきて、世界はどんどん平和になってきた」というものであるが、『暴力の人類史』ではこの主張を説得的に「論証」するためにかなりの努力がなされており、ノルベルト・エリアスの『文明化の過程』を引用している部分や「道徳的フリン効果」についての議論をはじめとして、印象に残る箇所が多々あった。読者たちの常識に反する主張を伝えるためには、

    経済的不平等のなにが悪いのか?(読書メモ:『21世紀の啓蒙:理性、科学、ヒューマニズム』) - 道徳的動物日記
  • 読書メモ:『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』 - 道徳的動物日記

    ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論 作者:デヴィッド・グレーバー 発売日: 2020/07/30 メディア: 単行 はじめに断っておくと、わたしはこのをフラットな状態で読みはじめたわけではない。『隠された奴隷制』でデヴィッド・グレーバー(やジェームズ・スコット)が援用されている箇所を読んだときには「アナーキスト人類学って胡散臭そうな主張だなあ」と思ってしまったし*1、国家制度や西洋社会や資主義の欠点をできるだけあげつらってオルタナティブな社会の価値を強弁する、という彼の基スタンスも気にわない。 Twitterなどを見ていても、グレーバー(的な主張)を好んでいる層にはわたしにとってノーサンキューな人が多そうだ。 とはいえ、労働というテーマについてはわたし自身もこれまでに色々なを読んできたし、自分なりに色々と考えてきたし*2、「ブルシット・ジョブ」という概念自体につい

    読書メモ:『ブルシット・ジョブ:クソどうでもいい仕事の理論』 - 道徳的動物日記
    ookitasaburou
    ookitasaburou 2020/08/30
    “富裕国の三七%から四〇%の労働者が、すでに自分の仕事を無駄と感じているのだ。 経済のおよそ半分がブルシットから構成されているか、あるいは、ブルシットをサポートするために存在しているのである。しかも、それ
  • ジョエル・モキール『経済発展の文化:近代経済の起源』 - 道徳的動物日記

    A Culture of Growth: The Origins of the Modern Economy (Graz Schumpeter Lectures) 作者: Joel Mokyr 出版社/メーカー: Princeton University Press 発売日: 2016/10/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 経済史学者のジョエル・モキールの『経済発展の文化:近代経済の起源』を飛ばし飛ばしながら読んだので、内容をごく短く要約して、適当な感想も付け足しておく。私はこの分野に全く詳しくないので著者の主張がどれくらい妥当であるかといった評価はできないのだが…。 近代的な経済成長とか産業革命はなぜ他の地域ではなくヨーロッパで初めて起こったのか、ということについては色々な人々が様々な議論を提起している訳だが、モキールは所有権の確立とか自由な通商といった「人

    ジョエル・モキール『経済発展の文化:近代経済の起源』 - 道徳的動物日記
  • 「アイデンティティ・リベラリズムの終焉」by マーク・リラ  - 道徳的動物日記

    http://www.nytimes.com/2016/11/20/opinion/sunday/the-end-of-identity-liberalism.html 今回紹介するのは、ニューヨークタイムスに掲載されたマーク・リラ(Mark Lilla)の記事。リラは政治科学者兼歴史学者であるらしく、政治的立場としては左派であるようだ*1。今回の大統領選挙の後では、アメリカでは「アイデンティティ・ポリティクス」という単語とそれを批判する言説を目にする機会が増えており、この記事もそのような言説の内の一つ。 「アイデンティティ・リベラリズムの終焉」by マーク・リラ アメリカが多様性のある国になったことは自明である。そして、その多様性は眺めていて美しいものでもある。他の国から訪れた人たち…特に、異なる民族集団や信仰を取り入れることに困難を抱えている国から訪れた人たちは、アメリカ人たちがそれを

    「アイデンティティ・リベラリズムの終焉」by マーク・リラ  - 道徳的動物日記
  • 「ドナルド・トランプと、社会科学の失敗」 by ユリ・ハリス - 道徳的動物日記

    quillette.com 今回紹介するのは Quillette というサイトに掲載された、ユリ・ハリス(Uri Harris)という経済学者?の記事。アメリカ大統領選挙にてドナルド・トランプが勝利した理由について社会科学的に分析している記事…ではなくて、トランプの大統領当選を予測できなかった(そして、当選した理由を科学的に説明することもできない)社会科学をこき下ろす記事である。こき下ろされている側の社会科学の具体例がないのでちょっと藁人形論法っぽい感じはあるが、この記事の数日後に掲載された Part 2 では実際の論文を取り上げて具体的な批判を行っているので気になる人はそっちも参照してほしい*1。 「ドナルド・トランプと、主流派社会科学の失敗」 by ユリ・ハリス 先の大統領選挙におけるドナルド・トランプの勝利は多くの人々にショックを与えた。世論調査、メディアに出演する専門家たち、そして

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