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ブックマーク / www.imes.boj.or.jp (20)

  • 福田財政の研究 財政赤字累増メカニズムの形成と大蔵省・日本銀行の政策判断

    井手英策 稿では、戦後日財政の性格を方向づけた、福田赳夫と深いかかわりのある一連の政策選択、すなわち「福田財政」が、どのような特色を持ち、日の財政史においてどのように位置づけられるのかを論じる。その際、研究史の空白を埋めるにはとどまらない、相互に関連する以下の2つの課題を起点として、政府債務の累増メカニズムの一端を解き明かしていく。1つ目は、「30年の時を隔てて復活した高橋是清の財政哲学」という視点とかかわっている。福田は高橋の財政思想に心酔し、高橋財政期を、景気回復と財政健全化を両立させた理想の時代ととらえていた。そこで、高橋財政の政策体系がオイルショックの前後期に再び採用されたことの歴史的な帰結を問う。2つ目の課題は、福田財政の側から光を当て、「高橋是清が存命だったら日の財政はどうなったのか」というhistorical ifを逆照射することである。福田は、異なる歴史状況のもと、

  • 何がマクロプルーデンス政策の制度的枠組みの違いをもたらすのか?

    江川絵理、大谷聡、崎山登志之 稿では、先進国、新興国をあわせた66か国におけるマクロプルーデンス政策の制度的枠組みに関する情報を使って、その最近の動向と特徴を考察するとともに、特に中央銀行と政府の役割に焦点を当て、どのような要因によって、各国で採用されている枠組みが決定されているのかを分析する。稿からは、多くの国で、マクロプルーデンス政策の権限の設定や、意見交換や政策協調を行うための金融安定会議の設置など、近年、急速にマクロプルーデンス政策の制度的枠組みを整備する動きが進んでいることが示唆されている。また、現在、多くの国では、中央銀行が一元的にマクロプルーデンス政策を担う中央銀行への集中型か、中央銀行を含む複数の機関がマクロプルーデンス政策に関与し、政府が複数の機関間での意見の調整や取りまとめを担う政府による調整型の2つの枠組みが選ばれている。そして、実証分析の結果、こうした枠組みの違

  • 1980年代における金融政策運営について: アーカイブ資料等からみた日本銀行の認識を中心に

    伊藤正直、小池良司、鎮目雅人 稿では、1980年代の金融経済情勢ならびに金融政策運営について、日銀行アーカイブ資料をはじめとする同時期に作成された資料を活用しつつ、当時の日銀行からみた認識を整理する。この時期の金融政策運営を歴史的観点からみると、以下に挙げるように、金融政策運営上の教訓となる大きな経済変動を経験する中で、その後の金融政策運営の柱となった考え方や金融調節手法等が生まれるきっかけとなったという点で、大きな転換期であったと位置付けることが可能である。 第1に、80年代を通じ、対外不均衡是正に配慮した金融政策運営を行わざるを得ない状況が長く続いたが、80年代末になると、政策運営上、中長期的な物価安定を目指す方向へと徐々に移行していった。第2に、この間の資産価格やマネーサプライ、銀行貸出の大幅な変動については、相応の注意は払われていたものの、そのマクロ経済への中長期的な影響に関

  • 銀行理論と金融危機:マクロ経済学の視点から

    加藤涼、敦賀貴之 稿では、世界金融危機後に発展してきた金融危機に関する理論的文献を展望する。その準備としてまず、既存の経済学が、1980年代から銀行システムの脆弱性に関する研究を続けてきた経緯を改めて振り返る。次に、世界金融危機以降、既存の研究の延長線上で銀行システムと金融危機を扱う新しい試みが提案されていることを紹介し、その中から特に「信用外部性」に焦点をあて、自由放任的な銀行システムが引き起こす金融危機をどのように理解できるか検討・紹介する。最後に、自由放任的な銀行システムが過剰なリスクテイクを行うことのマクロ経済的な帰結について、若干の議論を行う。 キーワード:金融危機、銀行システム、流動性、満期変換、信用外部性 掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。 Copyright © 2012 Bank of Japan

  • 銀行理論と金融危機―マクロ経済学の視点から―

    加藤涼、敦賀貴之 稿では、世界金融危機後に発展してきた金融危機に関する理論的文献を展望する。その準備としてまず、既存の経済学が、1980年代から銀行システムの脆弱性に関する研究を続けてきた経緯を改めて振り返る。次に、世界金融危機以降、既存の研究の延長線上で銀行システムと金融危機を扱う新しい試みが提案されていることを紹介し、その中から特に「信用外部性」に焦点をあて、自由放任的な銀行システムが引き起こす金融危機をどのように理解できるか検討・紹介する。最後に、自由放任的な銀行システムが過剰なリスクテイクを行うことのマクロ経済的な帰結について、若干の議論を行う。 キーワード:金融危機、銀行システム、流動性、満期変換、信用外部性 掲載論文等の内容や意見は、執筆者個人に属し、日銀行あるいは金融研究所の公式見解を示すものではありません。 Copyright © 2012 Bank of Japan

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2012/06/21
    本稿では、世界金融危機後に発展してきた金融危機に関する理論的文献を展望する。
  • 人口成長と経済成長: 経済成長理論からのレッスン

    平田渉 稿では、人口減少がわが国経済にもたらすインパクトをうらなうため、人口問題を扱った経済成長理論をサーベイし、資蓄積や技術進歩率への影響を中心に、その含意を紹介する。標準的な経済成長理論からは、人口成長率の低下は、一人当たりが利用できる資を増やすことを通じて、一人当たり実質GDPを押し上げることが導かれる。これを「負の資希釈化効果」と呼び、資が労働対比で豊富な資源になることから生じる。その結果、資の対価である自然利子率は低下する。他方で、人口成長率の低下は、技術進歩率を低めることを通じて、一人当たり実質GDP成長率を下押しするという考え方も存在する。これは、人口成長率の低下が、研究開発に投入できる労働力の成長率低下を通じて、イノベーションの停滞を引き起こすとの考え方に由来する。ただし、海外からの技術伝播を考えれば、わが国で予見される人口減少が、技術進歩の制約になるとは限らな

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2012/04/24
    本稿では、人口減少がわが国経済にもたらすインパクトをうらなうため、人口問題を扱った経済成長理論をサーベイし、資本蓄積や技術進歩率への影響を中心に、その含意を紹介する。
  • https://www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/1993/kk12-4-1.pdf

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2012/04/11
    『金融政策ルールの定式化と分析-日本への応用』 ベネット・マッカラム
  • 古代ギリシャと古代中国の貨幣経済と経済思想

    雨宮健 稿は古代ギリシャと古代中国の貨幣経済と経済思想の比較を主題とする。先ず当時の経済についてその概要を記し、それを背景として経済思想を比較する。古代ギリシャについては紀元前5~4世紀のアテネを、古代中国については主として戦国時代より秦、前漢の終りに至るまで(453BC−8AD)を対象とする。 古代ギリシャをアテネによって代表させたのは、多くのポリスのうちアテネが他をはるかに超えて貨幣経済を発達させたということと、残存する当時の著作と出土文字資料の量においても他のポリスを凌駕するという事実による。この時期に両者において商工業と貿易が発達し貨幣経済が成熟した。大胆な仮説に基づくものではあるが、両者におけるGDP、貨幣化(monetization)の指標、所得格差を比較する。経済について言及した著作家も大体この時期に輩出した。 中国の個々の思想家について、ギリシャの思想家と対比しつつ、その

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2012/01/24
    2012-J-1
  • 私的整理の成立を巡る交渉の法的考察 ――ゲーム論の観点からの分析を踏まえて――

    慶子 私的整理は、債権者全員の合意によって成立する。このため、「ごね得」や「メイン寄せ」を狙う債権者が存在するなど、債権者間の意見対立が著しい場合には、その成立が困難となる。そこで、稿は、ゲーム論の観点からの分析を行い、私的整理が成立する仕組みおよび私的整理の成立を阻害する要因を明らかにし、その対応策を検討することを通じて、私的整理の成立を促す方法を考察するものである。具体的には、はじめに、私的整理が成立する仕組みについては、同時手番の1回限りのゲームだけでなく、2回繰り返しゲームや2段階交渉ゲームを用いた分析から、債権者らは自発的に行う交渉の結果として、「ごね得」や「メイン寄せ」を含む平等ではない分配案による私的整理を実現しうること等を明らかにしている。次に、以上の分析から私的整理の成立を阻害する要因として、交渉決裂時の取り分たる倒産手続における分配額および交渉の対象たる企業価値に

  • 幕府による山田羽書の製造管理

    藤井典子 江戸時代を通じ、伊勢神宮外宮の門前町山田において発行・流通した山田羽書は、わが国最初の「札」とされる。この発行制度等については多くの先行研究があるが、製造等の実務については十分に把握されてきたわけではない。稿では、1790(寛政2)年の羽書改革以降、山田の自治組織(三方)に代わり幕府が直接管理する体制に移行した後の製造管理の実態を検討する。 分析の結果、(1)元文の金銀改鋳に応じて羽書の増札がなされた後、1740(元文5)年に発行ルールや券面様式等を定めた内容が、寛政期以後の製造実務の土台として引き継がれたこと、(2)三方の管理下では、この定めが遵守されず、増札が横行する等の弊害が生じていたため、製造工程を適正に実施・管理する仕組みの構築が幕府にとって課題となっていたこと、(3)羽書の製造においては、専用和紙の製造(漉立)、羽書用紙の加工(紙拵)、券面の印刷(摺立)の工程が計画

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2011/12/21
    本稿では、1790(寛政2)年の羽書改革以降、山田の自治組織(三方)に代わり幕府が直接管理する体制に移行した後の製造管理の実態を検討する。
  • 中央銀行の政策運営におけるマクロプルーデンスの視点

    白塚重典 稿では、マクロプルーデンスの視点を取り入れ、物価の安定と金融システムの安定を整合的かつ持続的な形で追及していくための中央銀行の政策運営枠組みについて検討する。今回の金融危機を契機に、グローバル経済の持続的な成長を支えるより安定した基盤を構築するために、金融システムの抜的な改革が提言されている。ただ、より高い安定性をミクロプルーデンス規制の強化のみで実現しようとすると、金融仲介機能の効率性を低下させることにつながりうる。金融危機は、来的に金融システムにおいて内生的な側面を有しており、ミクロ・マクロ両面での複雑なインセンティブのもとで、金融機関が共通のリスクへのエクスポージャを抱えることに起因している。この点、従来の政策枠組みには、金融システム全体として、効率性と安定性のバランスを確保するうえで不可欠な、マクロプルーデンス的な側面が十分取り込まれていなかったことが指摘されている

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2011/02/22
    中央銀行の政策運営におけるマクロプルーデンスの視点
  • https://www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/2000/kk19-2-2.pdf

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2010/11/28
    本稿は日本銀行金融研究所が開催したワークショップ「低インフレ下での金融政策の役割」(平成12. 年1月25日)への提出論文を大幅に改訂したものである。5章の分析の一部は大森徹(日本銀行金融研. 究所)が担当した。
  • ディスカッション・ペーパー・シリーズ2009要約

    わが国の量的緩和政策の経験:中央銀行バランスシートの規模と構成を巡る再検証 白塚 重典 論文では、今次金融危機への主要国における政策対応を踏まえつつ、わが国における量的緩和政策の経験を再検討する。各国の中央銀行は、購入対象とする金融資産の範囲とその購入規模の面で、非正統的な政策手段を採用している。そうした非正統的手段の範囲が拡大するに連れ、米国連邦準備制度の政策対応は、信用緩和と呼ばれバランスシートの資産サイドをより重視していることが強調されている。これに対し、日銀行が2001~06年にかけて採用した量的緩和政策では、バランスシートの負債サイドである当座預金残高に目標が設定された。しかしながら、中央銀行は、非正統的政策の遂行にあたって、その政策運営において直面する制約のもとで、バランスシートの規模と構成という2つの要素を組み合わせることにより、非正統的政策手段全体としての有効性を高めて

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2010/11/15
    白塚 重典
  • 中央銀行の将来:米国史からの教訓

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2010/10/21
    中央銀行の将来: 米国史からの教訓 ベネット・T・マッカラム
  • ディスカッション・ペーパー・シリーズ2010要約

    行動ファイナンスの新展開: 不確実性下における投資理論を中心として 山田 哲也 世界的な金融危機の発生を契機として、行動経済学や行動ファイナンスに対する関心が高まっている。こうした潮流を踏まえ、論文では、行動ファイナンスと伝統的な投資理論あるいは金融工学との融合を目指した各種の研究をサーベイする。具体的には、バリュー・アット・リスク、オプション理論、ポートフォリオ選択、リアルオプションといった従来の理論に、プロスペクト理論や時間非整合割引率といった行動ファイナンスの理論が融合されてきていることを紹介する。これにより、近視眼的な投資が行われることや、損失拡大時に損切りを躊躇してしまうこと、また、価格の分布がファット・テールになることなど、伝統的なファイナンス理論の枠組みでは必ずしも十分な説明ができなかった事象が説明されることを示す。また、こうした研究のアプローチについての有用性および限界に

  • ディスカッション・ペーパー・シリーズ2010要約

    マルコフ関数モデルによる金利オプションの価格付けの実用化 太田 晴康 稿では、マルコフ関数モデル(Markov-functional model)を用いた金利オプション価格の算出について、新たな実装方法を提案する。Hunt, Kennedy, and Pelsser[2000]で導入されたマルコフ関数モデルは、状態変数を低次元のマルコフ過程とし、オプション価格の評価に必要な割引債と基準財の価格をその状態変数の関数としてモデル化する。この関数形は自由度が高く、金利オプションの市場価格にボラティリティ・スマイルが存在する場合でも柔軟にフィッティングが可能である。また、低次元のマルコフ過程を状態変数とするため、早期行使権付きの取引を含め、広い範囲の金利オプションについて、効率的な価格計算が可能となる。稿では、マルコフ関数モデルを実用化するうえで、離散的な権利行使レートにおいてのみ市場価格が観

  • 金融研究第29巻第2号 低金利下における企業の投資行動と信用リスク: リアルオプション・モデルによる考察

    低金利下における企業の投資行動と信用リスク: リアルオプション・モデルによる考察 山田 哲也 低金利の長期継続期待が、企業・家計のファイナンス行動や実物投資行動に強い影響をもたらし、設備投資住宅投資の積極化、その後のバランスシート問題につながっていく現象が、近年、多くの国で発生してきた。稿では、低金利環境下において、企業の投資や資金調達が積極化し、信用リスクが高まるメカニズムについて、リアルオプション・モデルの視点から考察を行う。その結果、低金利継続期待が強い場合だけでなく、先行き金利上昇期待が存在している場合においても、将来の金利上昇の可能性を近視眼的に捉えてしまう企業が投資や資金調達を積極化させ、信用リスクの増加につながりうることを示す。 キーワード:低金利、投資行動、信用リスク、リアルオプション、 コーポレート・ファイナンス、時間非整合的割引率、行動経済学 「金融研究」掲載論文等

  • 金融研究第23巻第3号

    「デフレの罠」脱却のための金融財政政策のシナリオ 岩康志 稿は、ゼロ金利でデフレが継続する状態(デフレの罠)から脱却するための金融財政政策のシナリオについて理論的な整理を試みる。必要とされる政策手段は、貨幣ファイナンスされた減税と組み合わせた将来の貨幣成長へのコミットメントと金利の引上げである。必要とされる減税額はインフレ率(名目金利)の上昇による中央銀行納付金の増加額に対応しており、財政当局は政府負債とプライマリー・バランスを安定化させる財政規律を維持する。価格が伸縮的でない場合は、所得の一時的低下が生じるが、これはデフレを解消するために支払わなければならない対価である。 現状の量的緩和政策へのコミットメントは、自然利子率の低下が一時的に生じていることを前提にしたものである。しかし、現状がデフレの罠であるとしたら、ゼロ金利の継続はデフレ期待と整合的になり、永遠にデフレから脱却できない

  • https://www.imes.boj.or.jp/japanese/jdps/2006/06-J-18.pdf

  • 非不胎化介入論の「錯覚」

    浜田宏一・イェール大学教授は、『週刊東洋経済』11月13日号の論文1で、非不胎化介入による一段の金融緩和を提言されている。 浜田氏の議論は、三つの主張に集約される。①変動相場制のもとでは、内需の回復が進むと円高が生じ、外需を抑制して景気(回復)の芽を摘む可能性があるため、円高防止の介入が必要。②介入を不胎化してしまうと介入の有効性がほとんど失われるため、景気のいかんによっては、日銀行は短期金融市場が乱されない範囲において不胎化を控えるべき。③日銀が不胎化なしの介入をする可能性があると考えれば、円高が一方的に進まないとの期待が生まれるので、介入の非不胎化が必要。 しかし、浜田氏の議論には、幾つかの重要な見落としがある。稿では、浜田氏の上記の三つの主張を手掛かりとして、金融政策が直面している問題を再検討してみたい。 浜田論文3つの主張への反論 主張1:「内需の回復による円高防止のための介入

    ookitasaburou
    ookitasaburou 2010/03/06
    東洋経済2000年1月15日号への翁邦雄の投稿記事
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