あまりにも当たり前すぎて、ふだんは不思議に思わないことがある。「新聞はニュースを報じる」。これもその一つだ。ニュースを報じない新聞は新聞ではない。実にその通りだ。しかし、「新聞はニュースに縛られている」のも事実である。これはどういう意味か。先日、東京・文京のシビックセンターで月刊誌「創」のシンポジウムがあって、そこでも同じことを言った。うまく説明できたかどうか、自信がないので、ここに書き残して、再度きちんと説明しておこうと思う。 「ニュースとは何か」という、大学の講義みたいな話になってしまうが、少しお付き合い願いたい。 ニュースの基本は「出来事」を追うことだ。戦争や政局、事件・事故、株価の動向、企業の新製品。これらは、すべて「出来事」である。出来事であるからニュースになる。「出来事」とは、簡単に言えば、「動き」のことだ。逆に言えば、「動き」のないものはニュースになりにくい。 最近、「新聞は