(前編から読む) 勝康は高校を中退している。特別にワルだったわけではない。高校1年生の時は無遅刻無欠席。2年生では進学クラスへ。数学や生物といった理数系が大好きな高校生だった。 ただ、生活指導の教師との折り合いが悪かった。学校の行き帰りに呼び止められては、引っ張られ、叩かれた。今でも殴られた理由はよくわからない。理由がわからないから、その教師と顔を合わせることが怖かった。次第に学校から足が遠のいていく。高校3年生の新学期を迎えることはなかった。 その後は、喫茶店でコックを5年、パブの店長を10年以上勤めた。結婚して子どもも生まれた。35歳のとき、夜の仕事から昼の仕事へ変わることを決意した。しかし、何度も書類選考ではねられた。学歴を持たない35歳の男が居場所を見つけるのは、想像以上に厳しかった。 働かないわけにはいかない。父の店に入ったのは、ある意味「仕方なく」だった。数年ぶりに足を運んだ鳥