(2012年1月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 2012年の世界経済には果たしてどんな展開が待ち受けているのだろうか? まずは、厳しい状況に置かれている高所得国から見ていこう。 高所得国には、健全な景気回復を予想できるだけの妥当な理由があるだろうか? いや、あまり見当たらない。ユーロ圏の状況は、下手をすれば世界中に影響が及ぶ災厄になりかねない。米国ですら、景気回復は脆弱なものになりそうだ。2007年以前の出来事が投げかける影はなかなか消え去らない。 悲観論が増す景気見通し 昨年12月に集計された各国・地域の成長率予想のコンセンサスは悲観的だ。2012年の経済成長率の最新の予想値は、1年前のそれを大幅に下回っている。その傾向が特に顕著なのはユーロ圏で、最新の予想では景気後退入りが見込まれている。 イタリアとスペインはマイナス成長に陥り、フランスとドイツの成長率も無視できるほど低いレベ