とことん物事を理詰めで、かつ合理的に考えて行動すると、結果的にやっていることがそれまでの常識や慣習とかけ離れてしまうことがある。 逆に言うと、一見常識外れな手を打って成功を収めている経営者は、実は本人の中では極めて合理的な判断に基づいて行動していることが少なくない。常識外れなことをやったから成功したのではなく、やっていることが理にかなっているから成功したのである。 ミルズ(新潟県長岡市)の社長、林征司さんの経営手法は、まさにそんなケースと言っていいだろう。 ミルズは牛乳宅配業で急成長を遂げている会社である。 毎朝、自転車に乗ったお兄さんがガチャンガチャンと荷台を鳴らしながら、一軒一軒、牛乳を配達して回る──。そんな光景は、もうテレビドラマや映画のなかでしか見られない。今はスーパーやコンビニで、毎日、紙パック入りの新鮮な牛乳が売られている時代だ。いまどき牛乳の宅配業が成り立つのかといぶかしむ