本作は第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、日本映画では初となる脚本賞を受賞、さらに国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、AFCAE賞も受賞し、見事4冠の快挙を達成した。 今晩帰ったら少し話したいことがある。そう言い残して妻は死んだ。互いに愛し合いながら、同時に夫の「家福」を裏切って浮気をしていた妻。その2年後、家福は演劇祭で『ワーニャ伯父さん』の演出をつとめるため、広島に滞在していた。家福の傍らには、ドライバーを務める寡黙な女「みさき」。自動車の中で共に時間を過ごしながら、家福はそれまで目を向けようとしなかったあることに気づかされる。 『ハッピーアワー』『寝ても覚めても』の濱口竜介監督の最新作は 村上春樹の同名短編小説を原作に選んだ。『寝ても覚めても』でも原作の映画化に挑んだ濱口竜介監督だが、今回は原作の短編小説から物語を膨らませ、上映時間179分という大ボリュ